卯楽々堂 & 花うさぎ 2018総括その2(創作TALK参加)

承前ってことで、2018年の手製本づくりを写真で振り返った前回記事もご案内しておきます↓(そっち読まなくてもこれは読めます)
http://usaurara.hatenablog.com/entry/2019/01/05/154050

で、今日は
1. 三年の振り返り 
2. 手製本の会のこととか初心とか 
3. 直参のお知らせ 
の予定。2018というより「これまでのぜんぶ」ですが、おつきあいいただければ幸いです。


1 三年の振り返り
わたしは三年前に無配の詩画集を作ったのが楽しくてサークル活動を始めました。

このとき「コピー本を少部数作って委託でだったらわたしでもサークルをやっていけるなあ」と思ったんですよ。もともとクラフト志向なもので、コピー本だからこその味わいを追求してみたいと思っちゃったんですね。「少ない手持ちで最高のものを作る」というようなとても日本の庶民にありがちなマインドですw 子育て一段落もあって、ウェブで細々創作していた状態から沼にどぼん! では、その後三年を通して振り返ります。

平均するとうちは
1アイテム20~40冊 × 4アイテム程度 =約120~140冊
このくらいを一年間で手製本して委託で売るサイクルになっています。たいした数じゃないのですが、機嫌よく制作をしていくにはこのペースが限界。そして今のところ在庫を抱えずに済んでいてとても気が楽です。(いつも買ってくださるお客様に御礼を申し上げます!) 3年で固まってきた、うちの方針はこんなところ。

1 いいものを少し作ってワンシーズンで売り切る(あくまでも自分にとってのいいもの!)
2 価格を抑える(趣味に走って素材や製本に凝りすぎるのを抑える! がまんがまん)
3 広報をしっかりやる(半クラフト作品を委託で買っていただくために、これは大事)

3つともそれぞれ話すと長くなるのでそれはやめて、そのぶんこっちで↓

2 手製本の会のこととか初心とか
手製本の交換会(交歓会) 「テセ会」 を昨年末に企画して年明けに開催しました。テーブル一つを囲んで持ち寄った手製本をみなで撫でまわしながらお茶すると楽しいだろうな~という夢想を実現させてしまった俺得企画ですw 詳細はこちら、ツイッターモーメントでどうぞ↓
twitter.com

少人数で手製本会をやりたいなあとずっと考えてはいたんですが、条件をクリアする店がなかなかなくて。それをJR京都駅近くで見つけたので、開催日を文フリ京都に合わせました。そして直参するフォロワーさんで興味を持ってくださる方は誰だろうと考えて、凪野基さんをお誘いし快諾を得ました。やったああ~~~二人居たらとりあえずGO! というかんじで動き出して、最終的には5人でテーブルを囲みました。みなさんご参加ありがとうございました^^ (風邪で来られなかったり都合が合わなかったりが数名いらっしゃいました。次回お待ちしています!)
凪野基さん、宮田秩早さん、らしさん、沙耶さん、うさうらら、みんなそれぞれにいろんな方向にコダワリを持ってて話し出すとあっと言う間に閉店時間過ぎてた!!(お店の方、すみませんでした) お料理も美味しかったみたいでよかった~。わたしはケーキを食べ損ねた。。。

1 宮田秩早さん
2 凪野基さん 
3 うさうらら
4 沙耶さん
5 らしさん

ちなみに、わたしはみなさんにこの日初めてお目にかかりました。ので、人物の印象を一言ずつ。
宮田さんは「お手伝いさんの姿で世を欺く武器商人」のイメージだったのですが手搬入姿が「完全に一致しました」w 「コイツにはこれ」とドンピシャな武器を袂から取り出す。(とても美しい文体のアヤシイ本をいただき、ありがとうございます) そして推しジャンルの話が止まらないww 
凪野さんは初めて会う気がしなかったナンバーワンやな、なんでやろって出身地の近さですねw あとおかん体質とかかな?←  ガチ勢ではないといいつつ巻物で来る工作好き、さすが。  
沙耶さんは見た目が想像と逆の印象だった。少年のような、スピッツの草野君みたいな清冽さがあるひとだな~と。写真にもそれが出てるなあとか。体調悪いのに頑張ってきてくださったの嬉しかったです^^
らしさんはずっと2年半ぱんだだと思ってたのでびっくり!w なにこれ、みたいな(わかって) 児童文学好きなひとの香りが、言葉の端々にあってやさしい気持ちになりました。

「テセ会」は楽しかったので継続します。興味あるよって方はツイッターでお声がけくださいね。次回は半年くらい先かな? やりかたも臨機応変に、その時々で楽しいとおもうことをやっていきたいなあと思います。カフェもいいけど校外学習型テセ会とか遠足型テセ会とかも楽しそう。
そうそう、「テセ会」てなまえはらしさんが勝手に短縮して言ってたのをまんまいただいたんです。深い意味はない!w でもエセ会ぽい気がするし(いや、じっさいエセ会だろ? と自ツッコミしてしまうし)イセカイっぽい気もするし(じっさい異世界に行きたい人間のあつまりだろ? と自ツッコミしてしまうし)この会にはふさわしいのではないかと^^
それから、凪野さんもしっかりしたテセ会レポをあげてくださっているのです。ぜひどうぞ!
bluegray.self.jp
ちなみに今回のお店「hatobacafe」はこちら。広くてお洒落で静かで、京都駅近くで足を休めるにはいいお店です↓
hatobacafe.net

この、お店選びが難しかった理由は「大きなテーブルを皆で囲んで落ち着いて話ができるお店」が条件の一つだったことです。ツイッターでちょっと言いましたが、わたしは右の耳が聴こえません。なので車座になった時、右側の人とは話しづらいんですよ。主催者はどうしても進行をしないといけませんから、そういった不自由は避けたいと思ったわけです。
この片耳の難聴は、周囲に説明しないでいると誤解されてしまって結構人間関係をこじらせることになります。なりました。そういう経験を経てわたしは「フェア」ということに敏感になったんだろうと思います。創作活動においてもできるかぎりフェアに情報を届けたいし、間口も広げておきたいんです。「初心」の話はここと繋がっていて、創作活動の基盤にそういう気持ちがあるということです。こういう話は長々としたくないのでこれはここまでにして。さて、最後のお知らせです。


3 直参のお知らせ
この春、テキレボと文フリ金沢に直参します!基本、委託専門サークルなので遠征は今後当分しないつもりです。これまでウェブ上でしかご縁のなかった方々とも、この機会にお会いできればと思います。ご予定いただければ幸いです。
テキレボ8 3月21日(祝) @浅草
文フリ金沢 4月20日(日) @JR金沢

もう少ししてからまたそれぞれのイベント情報を告知します。それまでに新刊等の制作がんばります。ではまた! 最後までお読みいただきありがとうございました^^

第8回テキレボ 花マップ企画ご案内(末尾に参加サークルリスト)

このページは第8回テキストレボリューションズ、通称テキレボ8における有志企画「花マップ」のサイトとなります。

3月21日(木祝)開催の同人誌イベント、テキレボ8についての詳細はこちらを↓
第8回Text-Revolutions 開催概要 | Text-Revolutions


うちのサークルは毎回なにかしら花をモチーフに作品制作をしますので、同じように花を使った作品をリストアップして宣伝することで同士を増やせたらいいなと企画を主宰することにしました。

☆花マップ企画について

主宰 うさうらら @usaurara (on twitter)
テーマ 花  花が印象的に使われた物語を集め、マップにして配布します。

・長期的にテキレボで開催を予定していますので、ゆるく、できる限り主宰者も参加者も負担の少ない企画にします。
・目的として「花が出て来るお話を探すお手伝い」を掲げます。情報が過多になってしまうのを避けるため、本のタイトルとサークル名と花の名前のみ表示します。(個人の書き手の名前は載せません)
・申請後は特に何もしていただくことはありませんが、TwitterでのRT等にご協力いただけると助かります。
・当日は公式の配布場所とサークル花うさぎのブース、2か所にマップを置きます。また、一週間前にはウェブ上にあげるとともにネプリでの配信を予定しています。
・運営は主にTwitterにて、うさうらら(@usaurara)が行います。ご質問やご意見、ご遠慮なくどうぞ。

☆参加条件
・花が印象的に登場する
・実在かどうかは問わない
・物語中、比喩でなく概念として花である
・ゴブガリ案件OK
・1サークル1タイトル限定

☆参加申し込み

ツイッターアカウントをお持ちの場合
ツイッターのモーメントで指定の投稿↓ へリプライ&DMをください。



ツイッターアカウントをお持ちでない場合は以下の要領でお願いします。

1 以下の文面に必要項記入のうえコピペしたもの

ココから↓
#花マップ に参加します。
1サークル名 
2本のタイトル名
3登場する花の名(複数可)

↑ココまで

2 本の宣伝・紹介文を80字程度で書いたもの

1と2をあわせて usaurara☆yahoo.co.jp (☆は@に変換ください)までメール送付ください。


☆ご注意ください
なお、今回は公式アンソロのテーマが「花」になっており、該当作品が相当数見込まれるため申込先着順で40サークルまでの受付とさせていただきます。また、申込の窓口が2か所になるため時差が生じたりして意に添えない場合もありますがご容赦ください。

では、ご参加お待ちしています。

花マップ参加サークルリスト(申請受付順・随時更新)

1花うさぎ うさうらら @usaurara
2千美生の里  野間みつね @Mitsune_Noma
3灰青 凪野基 @bg_nagino
4勇者斡旋所 卯月慧 @uduki_sosaku
5hs*創作おうこく。 せらひかり @hswelt
6謂はぬ色 梔子花 @shishi_ca
7風花の夢 蒼衣 @kazahana_aoi
8若竹庵 宗谷圭 @shao_souya
9絲桐謡俗 一福千遥 @ichihukuchiharu
10花月 猫宮ゆり @yuri_neko_0
11オレンジ宇宙工場 葉原あきよ @oakiyo
12夢花探 ほた @hota_ho
13白玉 sunny_m @sunny_m_rainy
14アテナ戦記 橋本野菊 @nogiku41
15いくそす。 骨林頭足人 @H_tousokujin
16シュバリエ・オ・ミエル 桂木コルノ @uM4WrJD0vmSXm2S
17怠梟文庫 清久 志信 @LAZYxOWL
18つばめ綺譚社 紺堂カヤ @kaya_kon
19ひとひら、さらり 新島みのる @NiishimaM
20通し稽古―Generalprobe― 深山瀬怜 @selenic_acid
21七月の樹懶 たつみ暁 @tatsumisn
22桐瑞の本棚  桐谷瑞香 @mizuka_k
23アリスチルス月面研究所 青川有子 @f0f8ff
24灰色のシェマ 水城透子 @haruichion
25博物館リュボーフィ まるた曜子 @musi_ko
26岬の芝居小屋 たるなま @shibaigoya 
2月24日現在

卯楽々堂 & 花うさぎ 2018総括その1(創作TALK参加)

温泉でタオルを絞って肘を傷め、まんまと大掃除を逃れたうさうららです。あけましておめでとうございます!
おせちを前にして「今年の抱負はなんや」とか言い出す父親ってめんどくさかったですねー。わたしは今年もランチとおやつを自慢して一年過ごしたいです。
さて、一昨年のこの企画ではわたしが作っている手製本についてお話しました。今日は写真でざっとこの一年の作品を流し見ながら振り返ります。よかったらおつきあいください。

前回の記事(うちの手製本について)を読みたい方はこちらをどうぞ→
http://usaurara.hatenablog.com/entry/2017/12/08/170550?_ga=2.23757178.114127576.1546314529-985483697.1394580252


今回の記事はココからです↓

写真で振り返るこの一年
まず自己紹介をひとこと。うさうららは手製本を主に委託で頒布しています。個人活動には卯楽々堂、磯崎愛とのコラボには花うさぎの屋号を使用しています。
では、どうぞ。

1月 アートサイドカフェ・ココモ 出展 
オカワダアキナさんとのコラボ詩集『架空便』

浜松のギャラリーカフェイベントにギャラリー向けの詩画集を委託し、とても好評でした。オカワダさんとの制作時間も、初の現地訪問と創作での交流も楽しかったです。浜松が好きになった。年明けからとてもいい滑り出し。このあとインフルで寝込みましたがw
「架空便」にはモーメントがあります、どうぞ↓
twitter.com


2月 300字SS参加
バレンタインのネプリ企画開催(短歌とSS)  
ちょこらぶ

Twitterで短歌とSSを募り、ネプリ配信をしました。同時に小さな蛇腹本を作って参加者にくじびきでプレゼントも。こんなイベントを時々やっていくと手製本のファンを増やすことができるかもと感じて活動メニューに加えました。


3月 短歌冊子『珈琲日和9』連作で参加 
短歌連作



4月東京文フリ 出展 
コラボ詩集『架空便』

文フリ客層に合わせてニュートラル & ポップなデザインにマイナーチェンジした「架空便」。これもすごく好評でした!ありがとうございます。

『シズムアンソロジー』ホワイト

装丁違いで2種作ったシズムアンソロジーのうち、紙表紙バージョンを先行で初売り。デザイン的にはこちらがシンプルで文フリ向きかとちょびっとだけ委託して、好評・瞬殺でした! ありがとうございます。
企画自体はモーメントをご覧ください↓
twitter.com


5月シズムアンソロウェブ主催・参加
シズムアンソロ関連SS

シズムアンソロのネタが耽美好きさんにすっごく受けていたみたいだったので「じゃ、みなさんちょこっと書きませんか」とお誘いしたSS企画。いろいろ読めて俺得でした~~。ご参加ありがとうございました。よかったらツイッターモーメントがありますのでご覧ください。
twitter.com


7月文フリ札幌 折本フェアminiに無配で委託・同時に配信 
短歌ハッシュ臨時号

三角になるのが面白い、アイヌ文様がいまどき! と好評だったネプリです。短歌ハッシュはなにせこの文フリ札幌の折本フェアから出発したので、二年を経て里帰り的に参加しました。今年も7月7日の文フリ札幌で同じ企画開催予定だそうです。 


テキストレボリューションズ(テキレボ) 委託出展
『シズムアンソロジー』ホワイト
『シズムアンソロジー』グリーン
 
やっと目標にしていたテキレボでのシズム本格頒布。完売でした、ありがとうございます!

サークル花うさぎ新刊『あけびかづら』

好評で、花うさぎ蛇腹本の認知度があがってきたぞ! って実感を持てました^^
「あけびかづら」のモーメントです↓
twitter.com


テキレボで花マップ企画を豆塚エリさんと共同主催・参加 
マップとしおり


初めての企画主宰でゆるゆるとでしたが少しは賑わいの足しになったかな~~。継続で次のテキレボでも開催です。このブログでも募集記事を置きますので少しお待ちください。


短歌冊子『珈琲日和10』連作とエッセイで参加 
短歌連作 & エッセイ
この記念号で寄稿した500字のエッセイはよくまとまって自分としてはいい出来、お気に入りです。


静岡ストリートフェスティバル 手製本見本の展示
『シズムアンソロジー』ホワイト
サークル花うさぎ『あけびかづら』
会場で「あけびかづら」の見本誌を読み耽っている方がいらしたと聞き、「そうでしょうそうでしょう、磯崎のおはなしすごくいいでしょう!!」と自賛。嬉しい。


8月 ちょこ文福岡 折本フェアに無配で委託 
コミック折本『HOT!』 

オカワダアキナさんの小説キャラを借りて、オカワダさんに簡単な筋を書いてもらいコミック化。ひたすらファンアート制作的に楽しんだ本。(おかさんいつも気さくに付き合ってくださってありがとうございますー! 唐突)

短歌アンソロ折本『16pieces』

Twitterでいちごつみという短歌遊びをして、その中からの自選で一冊作った折本歌集。ご一緒した3人芍薬さん、愁愁さん、西藤智さんに折本をプレゼントして喜んでいただけました。短歌のお付き合いが増えること自体嬉しいです。


短歌冊子『うたつかい』 連作で参加


短歌冊子『吃』 連作で参加
サークル的なつながりの何もない場所に飛び込んで連作とエッセイを掲載いただいたのは、どうしても残しておきたいものがあったから。それがちゃんと今の自分のベストな形にできたこと、嬉しくありがたく自信になりました。主宰のとみいえひろこさんに感謝します。



9月 文フリ大阪 協賛で無配提供 
無配折本コミック『HOT!』とくじ

お世話になっているオカワダアキナさんのブースへ差し入れ的に作ったもの。



10月 ネプリ企画 ぺーパーウェル 準備開始
ななさんに話を持ち掛けたら、二つ返事。あっという間にスケジュールと概要を見せられて「有能な秘書を持つ部長さんってきっとこんな気分なのねー」と。



11月 文フリ東京 出展 
アンソロ『まるげ』

まるげはこれまでと違って参加人数が多かったんですよー。11名。ちょっとまとめきれるかなって不安もあったんだけどなんとか初売りに。そして好評、搬入ぶん瞬殺完売でした。ありがとうございました!(不思議かわいい「まるげ」はテキレボと名ティアで頒布予定です)


桜鬼さんの新刊に表紙イラスト提供
表紙カラーイラスト

イラストをとても喜んでいただけたのが嬉しい。結果も良好でした!(初回印刷分は完売、2刷めを頒布予定)


別府 詩のサラダボウル 無配で委託 
西藤智さんとの短歌折本『銀塩 

Twitterで短歌や小説の創作をされている西藤智さんと、二度目のいちごつみ。実は折本にする前提で裏キーワードを設定してイメージ統一をはかってありました。だから選り抜いて挿画をして折本に仕立てるところまで、とてもスムーズに運びましたね。またトライしたいです。


凪野基さんとのコラボ折本『艮』
 
凪野さんとはそこそこお互い作風がわかり合えているのでコラボもできるのではないかと持ち掛け快諾いただきました。「まるげ」で狐のSSを書いたところからの派生で私が詩を書き、凪野さんに小さな物語を書いてもらってカード仕立てに。これがさらに絵本『艮』に発展しました。

サラダボウルは初めてのイベントということでさっぱり雰囲気もわからないままに、とにかく協賛しようと無配を預けました。うちとしては豆塚さんへの恩返し的な参加でしたが、やってみたら小説同人世界の外へとチャンネルがちょっと開いた感じがあってよかったなと。イベントをきっかけに新しい試みを繰り返していくことが大事だなと再確認する機会になりました。


12月 花鳥風月 出展  
『シズムアンソロジー』ホワイト

凪野基さんとのコラボ絵本『艮』

先のカード形式折本から本格的な上製本へ発展。絵をしっかりと描き直して函入りの大人のための艶絵本になりました。モーメントもあります↓
twitter.com

花鳥風月へは初委託参加。頒布数でいうとこのイベントは唯一ふるいませんでした。相性なのかなー。でもイベント日程を目標に置いて、念願の上製本にチャレンジをすることができたのでよし! これから少しずつ工程をブラッシュアップしていけたらと思っています。


サークル花うさぎ新刊『斑(まだら)』のサンプル作成

さて、お知らせです。
テキレボにサークル花うさぎで直参します。主執筆者の磯崎愛も売り場に立つ予定です。ぜひご来場ください。
で、現在はそこに持って行く新刊の原稿待ちしつつ、装丁サンプルづくりしてます。テキレボの公式アンソロ「花」にはこの中から抜粋で参加予定です、お読みいただけると嬉しい!



短歌冊子『珈琲日和』に挿画用カット提供で参加  
(まだ発行されていません)


ネプリ企画 ペーパーウェル01 ななさんと共同主催・参加  
短歌ネプリ「こんたん」

企画は先日多数の参加をいただいて無事終了しました。皆さんのご参加・ご協力に感謝いたします! また、初開催をスムーズに運営できたのは主に動いてくれたななさんの力と、過去に開催されていた先行企画のおかげだと思います。どちらにも感謝を申し上げます。ありがとうございました。次回開催は6月です。

企画に関心を持っていただいた方、こちらに概要があります↓
privatter.net
第一回の参加まとめモーメントはこちら↓
twitter.com




各月 月刊のネプリ「短歌ハッシュ」

Twitter短歌企画 ネプリ「短歌ハッシュ」 毎月10日に配信
・短歌ハッシュの例 9月号 

ブックカバーにできる程度のイラストを描いて提供し、短歌の参加者募集から発行まで。年間で12回配信しました。この企画は始めてから二年半になります。少しずつ短歌のつながりがひろがって嬉しい昨今です。


以上写真でビジュアル的に振り返ってみました。長々とお付き合いくださってありがとうございます。最後にひとつプレゼントのお知らせです。ここで途中紹介した凪野基さんとのコラボ絵本『艮』ですが、お年玉企画として1冊抽選で差し上げることになりました。ぜひ奮ってご応募くださいね! 告知 はこちら~ ↓


それでは本年もよろしくお願いいたします。なお、タイトルに1とありますように、2があるんですよw 長すぎてぶった切ったんですよ!w すみません、もう一回付き合ったるわという方がいらしたらまた2でお会いしましょう。では^^

ペーパーウェル01 に「こんたん」で参加します!

ネプリ(ネットプリント)を大勢で同時に配信しあって、書く&描くことを楽しもうというTwitter企画 ペーパーウェル をななさんid:Library7と立ち上げました。詳細は下記リンク先、Twitterの企画アカウントページをご覧ください。
twitter.com

10月にバタバタと準備して発足したのですが、思った通りあっという間に第一回開催が目前です。明後日22日から24日までの期間に、小説やエッセイや詩あるいはイラストやコミック、写真といった画像のものなどさまざまな形式の一次創作が配信される予定です。そして今これを読んで「自分も!」と興味を持ってくださった方があれば、まだ間に合います! 配信登録は無料ですから、ぜひ小さいサイズからでも参加してみてくださいね。

わたしは↑キツネのイラストを散りばめた短歌のアンソロペーパー(A4サイズ)を配信します。参加くださるのは以下の通り(敬称略)の10名です。
泉由良 @yuraco
一福千遥 @ichihukuchiharu
海月ただよう @tadayou_k
紺堂 カヤ @kaya_kon
西藤智 @hitonosulab
桜望子 @Ma2raMen
芍薬 @yuritanyogini
諏訪灯 @_skydew
日向彼方 @hyuga_kanata
望月万里葉 @perhonaribon

「キツネ」あるいは「変化」をイメージして詠んだ10首とイラストの「こんたん」、カラー版は色合いがお正月っぽいですしお菓子を包んで手土産になどいかがでしょうか。配信はモノクロとカラーの両方配信しますのでお財布事情などにあわせてご利用くださいね^^ 
今回の企画ではうちのネプリ以外にもたくさんの方が配信準備をくださっています。ぜひ22日~24日のあいだに  #ペーパーウェル01配信 ツイッタータグをチェックしてみてください。また、この企画は年に二回開催で継続予定です。今回参加を逃した方も覗いてみて次回の参考にされるといいんじゃないかと思います。

では週末をお楽しみに☆

まるげ制作ばなし & 各作品紹介


昨日に続きアンソロジー『MARGE(まるげ)』について、今日は企画のはなし & 軽く各話の紹介をします。紹介はさらっと読めるけど12作あるからそこそこ長いです、よかったら読んでやってください。

わたしが制作で大事にしているのは手製本の醍醐味である「テーマ・装丁・中身をしっかりマッチさせること」、つまり総合的な本づくりってことなんですが、これがまこと楽しくて制作のしんどさも、数を作れない悔しさも、まあええやんでFAになりますw で、ここがしっかりするかどうかは最初の企画が肝心なんですね。

うちはいま布張り装丁が基本なので、新企画はまず布選びからです。今回の布は黒地にピンクの糸で葉っぱのような、尻尾のようなマークを規則的に織り出した着物地。絹の光がゴージャスで耽美ですが、前回アンソロが耽美テーマだったので今回はポップに寄せたかったんですね。で、→装丁で明るく楽しい印象を加味→このマークの謎解きをテーマに→ポップな本になる と考えました。そしてキーワードを「MARGE(まるげ)」にしてさらにポップにしました。「丸」に、不安げなどというときの「げ」がひっつくことで「まるっぽい形状にみえる様子、またはそう見えるもの」を指す古語です。

方向が概ね決まったのでサンプルを作って公募。今回は頒布に協力いただける方を二人優先でお誘いして残りの枠を募集しました。12人が1000字ずつ「ピンクのまるげとは何か」について書いています。さて、どんな話が寄せられたか感想をちょっとずつ。

 1 塒之@neguran0  海ほどく
塒之(ねぐらの)さんの書く文は、どこでなんのために書いてもねぐらの温かさと曖昧さがあります。こどもとおとなの境界線を浮遊している気ままなたましい。このわけのわからない本の入口にぴったりで、これがあることがとてもうれしい。

 2 座木春@86krk ベイビー・ベイビー・ユニバース
春さんに対する先行イメージが吹っ飛びましたw 可愛い、優しい、楽しい恋人たちの会話。まさにこのポップな装丁を、まんまショートストーリーに仕立ててもらったような。抜群に口当たりの良いキャンデーですよ!

 3 磯崎愛@isozakiai  らちがい・まるじなる
前々回のアンソロ「べんぜんかん」で書いた話とシリーズ的になるよう書かれた本作。今回は本の歴史についてをざっと浚う内容。表題「MARGE」からこのネタを選ぶのが読書家の磯崎さんらしいなと。本とそれを書くことへの情熱や哀感が行間から。

 4 ツカノアラシ@tukano_2013  あみるすたん羊に生えるもの
作風を良く知らなかったツカノさん、ちょっと不穏なものを書きますと宣言されたのですが。いただいてみると飄々とした文章が明るくて、不穏な内容とのマッチングが不思議な味わいの作品でした。元ネタがあり、わかる方はとくに楽しめそう。

 5 凪野基@bg_nagino 追想
凪野さんの文章は常々拝見しているので、読み終えて「ああ、凪野だっ!!」と叫びました。職人芸が光ります。あと、じっさいいろいろキラキラ光るんですよねえ、ナギノ世界。漆黒の闇が光をなお美しくする。闇は文章の密度だろうと思います。
 
 6 きよにゃ@kiyonya3 謎の宅配便
今回アンソロ執筆中に不思議な事件があって、それにインスパイアされるかたちで書かれています。SF仕立てでごくごく近未来の日常は――と一緒に想像を膨らませて読みました。そのころには宅配便の配達人も人間ではない(しかしイケメン)気がしたりして。

 7 宮田秩早@takoyakiitigo 北辺の習俗と神の去譚
あのですね、この方。宮田さんたら、執筆メンバーが決まって2日後には原稿提出されたんですよ!! は?? ってなりましたよw とにかく書きたいから書いちゃったっておっしゃって、驚くやら有難いやら。で、「所定の枠に収まらないですねえ、削ります」とおっしゃったんですが内容がとてもよかったのと削ると台無しになると思えたのでそのままいただきました。そういうわけでこの作品のみ、字数が多くなったりルビがあったり字の大きさが2種類あったりイレギュラーになっております。神話だしね! もうこれ真ん中にどーーんと置いて絵とかつけて、前後半の分け目にしたらええんちゃう?と。
内容ですけど、実はこのタイプ「来ないかなー」って待ってたんですよ。しかもこの雰囲気、すごいでしょ? 自分ではまず書けない。神様ありがとうと万歳しました^^ (そしてちゃっかりそのあとに自作を配置するわたし)

 8 うさうらら@usaurara ぴさんり
主宰特権で原稿が集まってから、そこにない要素をまとめる感じで話を作りました。「ケモ」「いわゆる百合モノ」「時代物」と、普段書かないもの。長々と書くにはちゃんと知識や慣れが要りますけど、1000字だからわりと楽しんで書けました。まるげが何か、ぴさんりが何か、お楽しみに^^

 9 嘉村詩穂@poesy_rain 患者番号08396
これも嘉村さんの通常運転、ひたすら耽美な一編です。闇や病みに惹きつけられて耽美なものを書く、その筆に対象への距離感を感じさせる嘉村さん。どれだけ美を描写してもぎりぎり溺れていない印象があります。それと詩を書く人の息遣いもわたしには美点。

10 雲形ひじき@kmkymr メディナ・ノート
「ヘンタイくさい」とひじきさんに感想をお伝えしましたw 何がって難しいんですけれど! 確実におかしい。怪しい。ひじきさん、あなたって何者? きっとみんなそう思うに違いないです。あ、内容は日記形式でのほーーんとしてます。(ますますアヤシイ) この本を「まるげに関する資料集」と設定したとき、こういうのあったらいいなと思ったものに日記形式もあったので頂いて嬉しかった作品です。

11 オカワダアキナ@Okwdznr 読み捨て
おかさんは「アンソロは主宰さんに捧げることにしてるので」とおっしゃって、二作初稿を用意して選ばせてくださったんですよ。それでなんと金の斧をポーイしましたw すごくよく書けている方を捨ててなんだかよくわからない方をくださいって言ったんです。だってこの本、なんだかよくわからない本にしたかったから! でも仕上がってみれば、やっぱり正解だったと二人とも納得しているので結果オーライなんです^^ フィティッシュな言葉のつらなりに身を任せて、北の海でけむくじゃらの獣に肌を撫でられる心地を楽しんでいただきたいです。

12 かくら こう@ohanasi_cafe Mの孵化
嘉村さんの作品と近い「ドロドロ耽美」なのですがこちらはシュール。口調の淡白さと展開の滑稽味で分類不可能ななにかになっていくので読みながら焦ってしまうw わかろうとして手に取ったものが次々粉砕されてお手上げ、マイッタ。滑稽で残酷で甘美。うちにシュヴァンクマイエル不思議の国のアリスがあるのを思い出させました。「わけのわからん話」がわたしは好きなのでこれをトリにしました。


構成についてざっくりまとめると前半がSFっぽいものやポップ&キュートなもの、7が神話、後半は語りがややダークなもの。特に最後のほうには心象が抽象化され、短いながら深みを感じる作品たちを置きました。彩り鮮やかで賑やかな皿を楽しんでいただいた後に濃く苦いエスプレッソをお出しする、みたいな手順です。皆さんのお口に合いますように。

このアンソロは今週末の文フリ東京で少部数頒布のあと、春のテキレボと名古屋コミティアで頒布予定です。いずれの会場でも見本を手に取っていただけますので、ぜひいらっしゃって手製本の手触りを味わってみてくださいね。

アンソロジー『MARGE(まるげ)』 試し読み公開

いよいよ週末、文フリ東京で『MARGE(まるげ)』が初頒布となります。ブースはA-13 オカワダアキナさんのサークル ザネリ  に委託をお願いしています。オカワダさんもこのアンソロによいお話を書いてくださっていますよー。

さて、あらためてざっくりこのアンソロを紹介するとですね。「ピンクのまるげとは何か」を合言葉に12人が掌編を書いて手製本にまとめたものです。「まるげ」とは何かが丸まった様子を指す古い言葉。手製本の表紙に使われた絹布の模様と、不思議可愛いことば「まるげ」からさまざまな空想がひろがりました。ぜひ手に取ってピンクのまるげを目撃してください!
今夜はひとまず冒頭のご紹介です。(掲載順)

1.海ほどく   塒之

 おいしそうなものの包み紙を外したら、おいしそうなものが入っているのだけれど、調理してお召し上がりくださいって。えっこんなキラキラした包み紙、ピンクに光ってお菓子みたいなのに、ちょうりして? しないとめしあがれないと? とじっくり見れば見るほど包み紙と同じピンクが黒い暗い海の中でざんぶと波打っており、ああ、こんな丸くて暗くて掌に乗る海があったのねえ、と感心するけれども、海。海の幸じゃなくて海。こんな甘い香りをさせておいて海!


2.ベイビー・ベイビー・ユニバース   座木春

 僕の想い人は地球の生まれで、地に足が着いた人である。彼の横顔を見ていると、僕はつくづく思うのだ。「重力って偉大だ」と。僕は土星出身で、そのためか落ち着きに欠けている。らしい。僕も自分でそう思う。だから到底叶わぬ恋でも、胸に秘めたまま楽しめるのかもしれない。
「あまり散らかすんじゃないぞ」
 僕が「マルゲ」を開けた途端、ハヤブサの声が飛んできた。途端、ミクロ・キャンディの七色の欠片が流星雨みたいに飛び出してゆく。僕は軽く片目をつぶり、大人しく「ゴメンね」と謝った。ハヤブサは眉間に皺を寄せたが、それ以上は怒らない。真面目である以上に、彼は優しい。


3.らちがい・まるじなる   磯崎愛

 かつて文字は隙間なく連なっていた。ひとびとはそれを読み上げながら書き写した。でなければ意味を追うことがむずかしかったのだ。
 そなたはきっと「書物」とやらに興味があるのだろうな。しかも余がこうして見えるとなれば、銀河の周縁に住まうものに違いない。なにしろ中央にいるものたちはせっかちなのだ。彼らは規矩にこだわり埒外のものを好まない。つまり、余のようなものどもを生かし続けるには、その言葉に耳を傾けてくれる来館者とやらが必要なのだ。いましばらく付き合ってくれ。


4.あみるすたん羊に生えるもの  ツカノアラシ

 ピンクのまるげを探しに行こう、一張羅の服を着てピンクのまるげを曲がりくねったような町へ探しに行こう。さて、ピンクのまるげとは、如何。
 その日、私は知人の手紙でピンクのまるげを探しに、曲がりくねったような町へ出かけたのだった。
 暫く前に行方不明になった知人からの封書の中には、店名と場所が印刷された名刺サイズのカードと『君が探していたピンクのまるげを見つけたので、行ってみるといい』と書かれた便箋が入っていて。
 さて、ピンクのまるげとは、如何。


5.追想  凪野基

 解析依頼が来た。ずいぶん古い型の宇宙船のメインシステムで、適合するケーブルを探すだけでひと仕事だった。
 データを変換している間に、添付のメモに目を通す。「軌道を外れて漂流していたため通信を試みるも返答はなく、当局にて拿捕。外装大破、乗員は全員死亡」目新しいものではなかった。
 サルベージしたデータから、このシステムがおよそ一七〇年前のものであることを知る。船籍ははるか遠くの星系を示していた。


6.謎の宅配便  きよにゃ

「山野さん、お届け物です」
「ふぁい……」
 宅配便のチャイムで、昼寝を起こされた。寝床からのそのそと這い上がり、やけに軽い段ボールを受け取って欠伸を噛み殺す。ここ数か月残業続きで、休みの初日は丸一日眠らないと体が持たないのだ。
(なんか通販、頼んでたっけ……)


7.北辺の習俗と神の去譚   宮田秩早

 北辺に独(ひと)り神ありと云(い)う。
 神名(な)、人代にくだりてのちは詳(つまび)らかならず。
 その地、三方を海とし、森多けれど実り薄く、夏、短く、冬、海は氷に、森は雪にて閉ざされり。
 人、覡(みこ)*1をして神と交わり、神、夏(か)を与(あた)う。
 夏とは獣なり。*2
 その血肉は滋養となり、毛皮は寒さを退(しりぞ)け、骨は海と森の生き物を呼び、人を養う。


8.ぴさんり  うさうらら

 女は天井の一角をちらと見やって壁際の梯子を取り、その先をひっかけて足場を確認した。着物をからげ上がってゆく女の腿が、少女の顔の間近で擦れうごく。屋根裏は暗くて見えないが二方の小窓の位置からみてそれなりに広いようだ。積まれた木箱から目当ての箱を探す女に「勝手にいいのですか」と少女が云うと、箱を開けようとした女の手が止まる。


9.患者番号08396   嘉村詩穂

 十九歳の彼の名をもう誰も覚えていない。カルテに記された患者番号の他に彼を呼ぶ名はなく、08396と声をかければ、弱々しい声で「はい」と返すのだった。
 原因不明の病に徐々に冒されて、十余年にわたる入院生活と多量の投薬によって足は萎え、もはや満足に歩くこともままならない。豪商の家に生まれたとあって、はじめこそ着飾った親族たちが仰々しい手土産とともに彼を見舞ったものだが、その足も絶えて久しい。
 外聞をはばかり、座敷牢の代わりにと、この白亜の病院に彼を押しこめたのだろうとおのずと知れた。
 花を手に友が見舞いに来る様子もなく、隣の病床に眠る顔ぶれが入れ替わっても、彼はひとり同じ寝台に横たわたっている。


10.メディナ・ノート  雲形ひじき

 某日、アサギマルゲが売り切れだった。いつでも買えると思っていたからストックは0だ。入荷までのしのぎ方を思案していると「正規の物じゃないが、ピンクならあるゲ」左目の大きな店主がから出してきたのはピンクのまるげだった。
 ピンクに切り替えてもリタの食欲に変化はない。三日に一度、十匹を丸飲み。
 某日、熊本氏と帰る。読んでいる本のことで意見を交わした。概ね同意で愉快。駅で別れてから、よりうまい返しを思いついて反省。氏が飼っている猫はまるまるとした長毛で、腹を撫でろと自ら要求するらしい。リタは鱗の変温動物であり、互いの存在に慣れはするが懐くわけじゃない。朝夕霧吹きをしながら話しかけていると、仏壇の前に座っている心もちになる。


11.読み捨て   オカワダアキナ

 表向きは船宿だ。ぼろい相部屋だが似たような客同士で気兼ねない。シーツは古本屋のにおいがした。あんたの部屋といっしょだ。
「まるげをやりにきたんだろ」
 年かさの男がおれに笑いかけた。満月の晩、ロッカーの鍵を足首に巻くのはまるげ狙いのしるしだ。
「あれはたまらないよな……」
 おれは仕事の前は二回シコるが、まるげだから三発だ。同室の男どもとやさしく抜きあった。軒先の文庫は一冊五十円、あんたを忘れる旅に出た。


12.Mの孵化   かくらこう

 部屋は桃色の粘液菌糸で覆われている。元はベッドだった長方形の苗床にMは脚を抱え横たわっている。その格好は胎児に、蛹に、そして卵に似ている。Mの目蓋も口も鼻も体躯も粘液に包まれ、一見なめらかな石膏だ。頚椎から尾骨にかけて鬣が生え、それは水生植物のようにゆらめく。淡い光が鬣の根元から生じ、先端へ向けて移動し、宙へ逃げる。壁や天井は光を捕らえ、それを吸収して粘液菌糸の層を肥厚させる。壁の表層では処々泡がはじけ、甘い臭いが漏れ出る。腐りゆく果実の内に閉じこめられたような部屋だ。酔いを覚え、僕は跪き、苗床にもたれる。Mがコポリと息を吐く。もうお喋りしてはくれないのだ、この口は。 


以上12作品、続きが気になる作品はありましたか? あったらいいなー。見本を用意してオカワダさんがお待ちしています。ぜひお立ち寄りくだいね☆

折本フェア #ちょこ文福岡 参加のネプリ配信中

明日、福岡で初開催される文芸イベント「ちょこっと文芸福岡」の折本フェアに参加します。お近くの方はぜひイベントを覗いてみてくださいね。
イベントのホームページはこちら→ ちょこっと文芸福岡 - chocobun ページ!

さて、折本というは一枚の紙に絵や字を刷って、折ったりったり切ったりして本のような形状にするものです。
手軽さが特徴のこの遊びをやたらめんどくさくアレンジしたのがこちらになりますw 
でも結構みんな作ってくれてるので、大丈夫つくれます。夏の工作おひとついかがでしょう。セブンイレブンへGO!(記事最後に作り方図面あり)


1.短歌の16首入ったもの
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セブン 白黒20円 カラー100円 選択可 29日まで 21174774

ツイッターで「いちごつみ」という遊びをご一緒した方たちと合計4人(西藤智さん、芍薬さん、愁愁さん、うさうらら)で読み草を出し合っています。初めての「いちごつみ」だったんですが楽しかった。ツイッターに最適な短歌遊びですね! ペースが合うひととこれからも楽しみたいな。(やり方はぐぐってくださいね)


2.文章とコミックの混合したもの
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セブン 白黒20円 カラー100円 選択可 30日まで 30443090

こっちは以前『昨日のかみさま』という作品をアレンジさせてもらったオカワダアキナさんと、再度ご一緒してつくりました。というのも今回の折本フェアが「コミックとかイラストでの参加OK」だったから。チャンスとばかりおかさんにお願いして『昨日のかみさま』からのスピンアウトのようなかんじの一冊を作ることが出来ました。おかさんのお話はどれもやさしくてだいすき! (一介のファンにおつきあいくださってありがとうございますううう)

そんなおかわださん、新作を大阪文フリに向けて準備中だそうです。楽しみ。そしてすでに脱稿したというアンソロのほうも。
twitter.com



☆さて「作ってみるよ!」 という方へ 解説☆
① こちらの図を参照して白い部分を切り抜いたら4つの部品に分かれます。
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② 4つのうち1つがこれ。これは表紙と裏表紙になる部品で真ん中から左右に袋状になるようつくってください。


③ 4つのうち3つがこれ。横につないで一体にしたら本文紙になります。(山になるところを途中まで切り込んでから折ってください)


袋になった場所に本文紙を差し込んだら右綴じの冊子組み立て完了です。


お疲れ様でした!