『昨日のかみさま』アンソロ版・制作ふりかえりトーク(うさうらら × オカワダアキナ)

文フリ東京で初頒布されるアンソロジー 文芸コンピレーションinput selector  にコラボで参加しています。オカワダさんの小品を舞台っぽい味付けやコミックのオマケをつけて盛り盛りにしたもの。その内容はあらためてここでも紹介しますが、今日はその制作をオカワダアキナさんと振り返りたいと思います。ちょっと長いですが創作が好きなひとは読むと楽しいかも、です。

『昨日のかみさま』 うさうらら × オカワダアキナ ふりかえりトーク

う  まずはコラボるきっかけ、ですね。わたしが絹の布地を本の表紙に使ってみたくて、水玉の布を手元に持っていたんですね。で、何をしようかなって思ってるとこへおかさんの「水玉のワンピを着る女の子のお話を昔書いてどこにやったかなー」ってつぶやきが目に入って。で、その小説ってどんなんですかって聞いてみたら演劇の脚本で。
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お  水玉のワンピースのお話は、わたしがはたちのときにやった演劇のことですね。
雨女の女の子が友だちのためにワンピースをつくっていて、友だちに彼氏がいるのがおもしろくねえなみたいな…ちょっと百合っぽい感じの。じっさいに舞台上で服に水玉をつくっていくっていう…。
なんでそれをいまになってツイッターでつぶやいたのか思い出せないのですが、なにかきっかけになったならなんでもつぶやいておくもんですね笑
(そこからどうして今回のはなしを素材にすることになったんでしたっけ…)
で、その「水玉もよう」のお話はデータなどもろもろ残っておらず、お話のあらすじをさらってみたんですけどもやっぱり役者の動きがあること前提のあんまりにもふわっとした筋で、こりゃ無理だなってなって…。でしたっけ…。

う  なんでも言ってみるもんですねww 

お  日頃たれながしておくと誰かにひろってもらえていいことがあるんだなあと…笑

う  (内容を)聞いてみたらどうも舞台で衣裳を着るシーンがリアルにそこにあってこその話だったんですよね。それであきらめよっかってなったんだけど、すかさずおかさんが「じゃあ、あれはどうですか」って昨日のかみさまのことを

お  ほかになんかないですかって話になって、さいきん突発で出した「昨日のかみさま」というお話がみじかめなので、なんとなく投げてみたんだったと思います。
4月にweb企画(#ヘキライ)のお題「昨日」でざっと書いたものがおおもとで、思いのほか気に入って、5月に文フリで少部数で出して…。

すごくおぼえていてハッとしたのが、「水玉もよう」のあらすじと「昨日のかみさま」のなかみを読んだうささんが、「どっちも木の実の名前の女の子のことが好きで、その子はいなくなっちゃうんですね」みたいなことをおっしゃってくだすって…。

  あ、そうだった!よく覚えてるね。そう、それが(元原稿がヘキライだったこと)大事なことなのよね。ちょっと今回のコラボの狙いとか、元作品がどういう性質のものだったかを説明する機会を持たないといかんなと思って今日この機会を設けたんです。


☆☆☆ 『昨日のかみさま』元作品からのアレンジについて


  もとの作品がヘキライ(ツイッターの文芸系創作企画)で気楽に書いたもので、普段から自作品を読んでくれている人向けにオリキャラのイメージをぼんやり混ぜ込みながらふわっとした話を書いたんでしたよね。で、アンソロジーにコラボで出すなら手を入れた方がいいよねって。それと、わたしが「おかさんとのコラボでしかできないことがしたい」=「舞台を小説にとりこめないかな、、、」っていう要望を出して。

  これすごく「わーっ!」てなったのです。エウレカです…!
「昨日のかみさま」を書いたときに、過去の演劇のことはぜんぜんあたまになくて、今回素材としてそれぞれあげたのにもとくに脈絡はなかったのですが…。
意識下のことを言い当てられたようでびっくりしました。書いた動機とか書こうとしたことって、書いた本人はわりとふわふわしているので…。
まあわたしいつも「いない人のうわさ話をする」お話ばっかり書いているんですが笑

(補足しておくと、「水玉もよう」のヒロインが「なつめちゃん」で、「昨日のかみさま」のヒロインが「くるみちゃん」です。どっちも舞台上には・小説の現在進行には、登場しない子ですね。)
ゴドーを待ちながら」が好きだから…

  おかさんとわたしの物語の癖、そこ(=いないひとのことを語る)は共通だなってわたしは結構前から思っていました。だからそこに支点を置くようにしたらうまくコラボができるだろうって。(この考えを反映させて詩画集を現在コラボ中です)

    ここですね、ほんとにこまかいはなしでうまく説明できなくて恐縮なんですけど、オリキャラを出そうとして書いてるわけでなくてですね、踊る人で死にそうな人を書くとああなっちゃうから寄せたというか…。寄せてはいるんですけど、書きながらこのひと「水ギョーザとの交接」の叔父さんであってもいいかもしんないなくらいのアレです。うーんうまく言えないんですが。
(たぶんキャラクターのつづきものとしてはつじつまが合わないです)
たぶん、いないひとのことを語るとか、ちょっと暴力の話とかがあって、まんま書くのがためらわれて、明るくさせたくて過去に自分が書いたものの面影に力を借りたかったようなところもあるかもです。

  ああ、そう聞くと想像はできますね。おかさんの直近の作品が水餃子でしたからね。あれはとてもやさしくてたのしくて、気持ちのいいラストの話だったから。そのキャラが出てきただけで空気が変わりますもんね。

  これ(力を借りる)、完全にあとづけなのであんまり気にしないでください…笑
やさしくてたのしくて、気持ちのいいラストの話とおっしゃっていただけるのはうれしいです。

いない人の話ばっかりなんですよね。同人誌で出してる長めのものはだいたい入っている要素です。なんでなんだろう…
あ、うささんの泣草図譜とか花うさぎコラボの海石榴の一連の作品とかたしかに…。
いなくなることが決まっている話というか、いなくなる・いなくなった人のことを語ってらっしゃいますよね。


☆☆☆  二人が共通する点について


  わたしはもうはっきりと兄の追悼として書いていますね。いや、もう薄れているんですけど。その痛みなんかは。でもなんだろう、時間の流れがお話にしっかり組み込まれているようなのが好きなのかな。だからヒト、モノ、コト全部ですね、流れるさまを描きたい欲求?あるんです

  そうでしたか。わたしはたぶん疎遠になってしまったり絶交してしまったりの友人であったり、かつての恋であったり、死んでしまったひとたちであったり…ぐしゃぐしゃしている「いない人」というかたまり…?
うささんの、流れていくさまというのはすごく伝わってきます。うささんの作品はひろびろとしていますもんね。

  そうですね、そういうイメージ(「いない人」というかたまりに向けて書いている)を抱いていました。おかさんの書くお話。あ、それと似たようなことばでこないだ言ってくださった「(うささんの作品は)風通しがいいですね」いう言葉がとても嬉しかったんです。何度も心の中で反復してしまったw

  これぜんぜん脱線なんですけど、わたしは三十代で、きょうだいたちはとても元気です。妹や弟たちがいなくなったらというのを想像もできなくて、想像してみたらちょっとべそべそしてしまうくらいにはまともに想像ができないでいます。
なんかたぶんこのくらいの年齢って友だち減るじゃないですか、で、きょうだいととても仲良くなるからなのかな…。
だから、そういった別離についてちゃんと受け止めようもないんですが、お話くだすって胸がしんとなりますし、ありがたい気持ちです。
風通しいいですよね。止まっていない、動いている絵を描かれるかただなあと感じていて(ですんで踊る人を描いていただけたのうれしかったです)、つくる物語もそういう感じです。
悲しいことやはっきりとした喪失をえがいていても、視界がひらけているというか…。話がどんどんふわふわしていって恐縮なんですが…。

  ああ、気遣いさせてすみません。そんなに深刻に受け止めていただかなくて大丈夫ですよ!一区切りはついてるので^^ ありがとうございます。

   (あっ、かんぜんに勝手なわたしの感傷です…!)うささんのかくものは、喪失であれ別離であれ、悲しいだけでなく(ともすれば悲しいとは一度も言わずに予感だけあたえて)、ちょっとだけカワイイところやおかしみのあるシーンを入れてらっしゃるところがそうさせるのかもですね。
そういうの、自分がとてもやりたいので…。

  でも、逆にそれはわたしがおかさんの作品に感じていることだったりします。作品によりますが、開放的だなあと思うことが多いです。開放的以上、壊そうとしている=ロックだとかパンクだとか。でね、なんとなくコミックでいえばガロっぽい印象があって。そのあたりがわりと肌が合いそうかなってわりと前から思っていましたね。ジェンダー撹乱を見て取って好感を持っているのもそういうベースがあるなあ、たぶん。

  ガロとかアックスとかそういう漫画はスキですね〜。つげ義春の漫画が青春や書くものに多大なる影響を…いやどこがって感じなんですけど…。(余談ですけどわたし「李さん一家」の奥さんに似てるらしいです)
ジェンダー撹乱、はハッとしました。撹乱と自分で言語化できていなかったので…。

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↑ 画像はつげ義春 / 「李さん一家」 より



   昨日のかみさまでも、骨になっている部分はとてもオーソドックスな少女の心の遷移だけどあちこちにそういう風味が散りばめてあって、書き手の強い意思(ジェンダーに対する)が透けて見えて来るんです。そういう気持ちをなんでもない話でそのへんにある道具立てでごく自然に伝えてくるのが魅力だなって思います。

それはどう反応したらw とにかく「細い」ってことなんじゃないのかな? >李さん似 

   目つきじゃないですかね…。(これほんとにバチバチの蛇足なのでカットしてくださいね…wwww


☆☆☆  『昨日のかみさま』の制作から『人魚とオピネル』へ


もともとのお題が「昨日」で、「昨日」というものについて考えたら、「昨日はいたけど今日はいない人」みたいに自分の大筋に落とし込んだみたいな感じなのかもです。これあとづけかな…笑
ジェンダーのあれこれは、あんまり上手に説明できないんですけどね。動機のようなものもあんまりうまく言えない…。
ほんと、かえって書いた側はふわふわしていて、なんでこう書いたんだろうなって、あとから化石の発掘をするみたいな感じかもです。
これ架空便(次の共同制作)の話ですが、「チープさ」っておっしゃっていただいたのすごくうれしかったのです!あっそれだ!って思いました。
今回ですと、シャツがほつれる、ベビーパウダー、BB弾、そういった小道具がそんな感じでしょうか。

  おかさんワールドを語れば「チープ」は外せないワードではないかと。 年金無払いワールドですもんねえw あ、へキライのお題が「昨日」だったんです?

  か、かくにんします…笑

   http://privatter.net/p/2361773
お題が「昨日」で、参加できなかったその前の週が「ほつれた糸」で、ふたつあわせてそうなったみたいでした。すっかり忘れてました。笑

   ああ、すごい。それであのイントロ。あのイントロ私凄く好きです!だからイントロは変えたくなかったんですよ。最初の一行からもうオカワダだ!みたいな。 こういう書き出しが書きたいなって嫉妬しましたw

  わーっありがとうございます。シャツのわきから糸がでていて、腋から生まれるとかそういう、なんだろう、舞台は教会で牧師さんも出てくるのに…。たぶん最初にイントロがあって、そこから広げたような感じです。
書き出しほめてもらえるのうれしいです…。わたしだいたいいつも、最初の一行がほんとに書き出しなんですよ。
最初の一行が手がかりで、そこから書いていく
ので、なんかこう立った場所がまちがってなかったのかなあよかったなあとしみじみうれしいです。

   まあ、結局ほとんど「まんま」使いましたけどね。戯曲にしようかって言ってやってみたりしたのも、全棄てしちゃったんだよね。ほんとにいろいろ迷走しましたねえw今だから笑えるけどあのときはどうしようかと!ww

   アッアッ…すみません…。戯曲もね、わたしがうまくやれれば面白かったと思うんですよね。
演劇から離れて久しいもんでしばらく書いていなくて、そして自分の小説→戯曲の改造がぜんぜんうまくできなくてですね…!

「視点の低さっていう魅力がぜんぜん出てこないんでやめましょう」とはっきりうささんにおっしゃっていただいて、でもむしろほっとして…そして元気になりましてですね…笑
あっ視点が低いんだ!って自分のやっていることがわかったんですよね。うれしかったです。

死者祭りバージョンのリボンちゃんよかったですが、あれは短歌ハッシュの骨回で供養的な…と勝手ながら思っていて…

   それです!供養^^  いえ、たぶんあの作品は戯曲には向かないんじゃないでしょうか。わたしもそのへんがどういうふうに判断すればいいのかさっぱりわからずに「やりたいからやってみる」で突っ走ってしまってご迷惑を。。。おかさんの対応がいつもとても誠意的でたいへんありがたかったです。とにかく決定的に時間がなかった!ですねw 突発的に湧いて出たコラボ企画で。だから行き当たりばったりをしまくってやっとどうにか着地したのがあの構成で。おかさんの作品のアレンジのひとつとして面白がって読んでもらえたら嬉しいなあ。最良の方法、というのは確実に「本人の筆のまま」なんで。
  そうですよね、わたしは書いて投げてでおしまいでしたけども、うささんはあいだの舞台パートつくってくだすって、絵を描いてくだすって、組版してくだすって、カラー版を豪華手製本してくだすって…。その間、三角州も並行されてたのですよね。もう魔法のようです。

最良の方法、というのは確実に「本人の筆のまま」なんで。
↑アッこれは今回のリライトにかんしては、うささんとの共同作業だからでてきた文章が相当あるので…!
たぶんわたしひとりだと5月の同人誌版でそこから先がなかったと思います。
「木の実の名前のもういない女の子」といううささんの気づきがあって、別離について自覚的になったと思うんですよね。
もちろん小説はひとりで書くものなんですが、ひとと話すのって大事だなあと、ちがう景色がみられるなあと…。

  でもいつか戯曲もシナリオ形式もやってみたいなー^^

   「生きているといろんなことがある。理不尽に死んじゃうひともいる」っていうリボンちゃんのせりふを出せなかったと思うのですよね。あとハイヒール履かせるのも出てこなかったですね、きっと。いやそういうこまごましたところだけではないんですが…。

やってみたいですね〜。 >戯曲やシナリオ
戯曲向きかどうかみたいなカンはわたしもあんまり働かないというか、最近は書きたいことを強引に小説にしちゃっているので、たぶん強引にこれはどうしてもシナリオでやりたいのだと思えば…思えば出るのではないかと…。
いやほんとわたしも出たとこ勝負というか、考えて何をやっているかとか目的が明らかになっちゃったら書かなくていい気がしちゃうかもなので、わかんないうちに書いちゃえみたいなところがあるので…突っ走るなら負けません…笑。
そしてぜんぜん迷惑だなんてことはなにもなかったですよ〜 たぶん紆余曲折しないとこのかたちもテキストも出てこなかったので…。

  おお、心強いお言葉!そうかもしれない。思えば出るかも!
じゃあおかさんとの戯曲コラボ、思えば出る方式を信じて待つことにします^^

「木の実の名前の女の子」がそんなに大事だったのかー。へええ、面白いですね。今あらためてこういう機会を持ったから聞けたわけだけど。
そうですねえ、誰かと作業をするのって鍛えられるなあっていつも思います。すごく勉強になります。昨日のかみさまのコラボもたくさん自分の未熟な部分に気づくことができてよかったです。ああ、ここのこういうとこがわたしは知識不足だなとか技術不足だなとか、ありました。結構苦労だったけどやってよかったです。

あ、細かいことついでにひとつ。わたしのパート(コミック)で「巻いた」ってとこがすごく自分で気に入りですw そしてこの日の前夜の二人(リンダと)をコミックで描きたい欲がすごくあるんで、そのうち描くかも。
そうだ、リンダありがとうございました。わたしは勝手にわたしのために書いてくださったものだと思ってますので!!w >オピネル

   (木の実の名前云々は)それ自体そんなに大事なことじゃない気もするんですが、なんかこう…「気づいた」っていう手ざわりというかトリガーが…ヘレンケラーのWaterみたいな…(これ伝わりますかね?????

わーっ光栄です。わたしもうささんに「いくら社会性がないといってもここでこのせりふはでてこないのでは、」とかハッ!としたので…笑
インプットもアウトプットも平素ひとりでやるものですが、ひととなにかやると使っていない筋肉がきたえられますね
そしてこれもあとから勝手にわかったというか気づいたことですが、「昨日のかみさま」がたぶん個人誌の「人魚とオピネル」の習作的な扱いだったのではと思うのですよね。
今回のコラボがなかったら「人魚とオピネル」ってああいうかたちでは出てこなかったと思います。そういう意味でも、いろいろ影響をおよぼしあっていて、ありがたい時間でした。

(あっ先に書かれていた笑)
そうですそうです、「人魚とオピネル」のリンダと人魚のおじさんがああいうかたちで落ち着いたのって、今回のコラボが相当に影響していると思います〜

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「巻いた」はですね、ほんとにもう、わーってひっくり返ってよろこびました。
そうきたか〜!それわたし知らなかったけど、そうだわ〜!ってなりました。たぶんああいうの書いた本人では出てこない…。
波とかかっているのいいなあと思いました。イメージがつなぎあわさって景色が流れていく、うささんの手腕ですね。
「そうだ わたしたちはもうパートナーだ」もわたしでは出てこなかったかと。

わっうれしい…。前夜の二人(リンダと)、はすごく気になりますね…。
余談ですけど牧師といちゃついている絵をいただきましてゴロゴロ転がってよろこびましたのです…そのせつはたいへんありがとうございます…!

  トリガーになる言葉を知らず知らず口にしてる、お互いそういうことの連鎖のなかで作品が生まれていくんですよね。すごくわかります。わたしは花うさぎでコラボを結構やっててそういうこと、すごく思ってきました^^

あああああすみませんすみません、えらそーーーwww 

習作かあ、なるほどなあ。ちょっとそう思いながらまた読み直してみます!!
あの作品のほわっというかぬめっというか掴めないかんじの、そういう部分を大事にして書くぞって思ったんだなあきっと、っていうことは思いました。オピネル読んで。

それがいい影響なのかどうかって判断はつかないけど(そんな判断を求める事はムダなきがするけど)、影響し合うということはわたしはいつもカモンなので喜ばしいことです。おかさんにもそう思ってもらえたら嬉しいです。  

はい、楽しみにしててください >二人(リボンちゃんとリンダ)のコミック
牧師がイケすぎちゃってもうなんかさせたくて(おげれつらくがきを描いちゃった)ww すみません、不躾で>< これ、入るのか?w


ということで、そろそろお開きにしましょうか。長々とありがとうございました。お話できてよかったです、いろいろ聞けて。

  思いがけず受け取る側になにか作用するというか…。いやいや大事なことだなあと思いますので、えらそうだなんてことはないですないです笑

つづきものとかシリーズということではなくて、こう、書いていたさいのテンションや課題や、次に書くものになんらか余波みたいなものがあるものだなあと思います。ですんで、こういった機会でいったん完成させたテキストに向き合うことはすごく力になりました。
オピネルのつかみにくい手ざわりは、はっきり今回の余波ですね。青い瓦のマンションがどうたらとかこまかい小道具を寄せたのはわたしのいたずらごころですけども…。

ロン毛にしましょうっておっしゃっていただいて、それだーっ!そうだったー!って思いました。
花束をくれるというのも、あ〜〜くれそう〜〜コイツわざわざめかしこんできそう〜〜としっくりきました。
わたしの書いたお話の、わたしの知らないことをご存知でらっしゃるなあとびっくりましたし、たいへんうれしかったです。

ぶしつけだなんてそんな笑 わたしも「ぜったいこのひとたちやってる」ってほうぼうで言っていた気がするので、これはオフレコでなくてもだいじょぶです!笑

了解です。こちらこそありがとうございますm(_ _)m
なかなかこういった話をする機会はないのでたいへんおもしろく、自分でも発見でした。
まとまりない話ですみません…。いいようにアレしてください…。

  今日お話したことも合わせて、現在進行中の詩画集「架空便」の挿画も描いていこうと思います。おかさんの文章と自分のカラーイラストがどう嵌るかとても楽しみになっています。プレッシャーもあるけどw 頑張りますのでいましばらくお付き合いください。
はい、アレしますw ではまた。ありがとうございました & おつかれでしたー!!  

   ありがとうございます。たいへん楽しみにしております〜!

2017年11月14日収録

☆☆☆


途中で言及がありましたが、この作品はモノクロでアンソロジーに寄稿しています。同時に同じ大きさの手製本を蛇腹形式で一部カラーにして制作しました。文フリ東京ではオカワダさんのブースで手に取っていただけます。

ぜひブースC20まで見に来て触ってくださいね~!

zine展inBeppu 参加と代行のお知らせ

こんにちは。イベントのシーズンとなりました。今月末にはテキストレボリューションズ@浅草が、来月の3-5日には別府で zine展inBeppu が開かれます。今日は「卯楽々堂」名義で参加する後者についてのご案内をします。

zine展別府はテキレボと違って九州の温泉町で開催されるイベントで、参加するサークルがすべて委託参加。規模がこぢんまりしています。だから現地でふらっと入ってこられる観光客や地元の方などが手にしてくれそうな雰囲気のものを出店するのがよいかなとアイテムを揃えました。5つのうち1と2はテキレボと重複していますので説明を省き、3~5について写真つきで商品説明していきます。
もし気に入った作品がありましたらぜひ代行ご利用くださいね。(手数料がかかります&品切れの場合があります)
代行の詳細はこちらから→
zine展inBeppu4 お買い物代行サービス - zine展 in Beppu 4


頒布アイテム

1 べんぜんかん      @500
2 三角州         @500
3 原稿セット歌集付き   @400
4 レターセット・イエロー @300
5 レターセット・ピンク  @300


3 原稿セット歌集付き @400

椿の花の飾りがついたオリジナル原稿用紙は罫の部分が赤です。紙のサイズはA4、上下に400字詰めがぞれぞれ入っていますので半分に折ってお使いください。A5サイズの下敷きとクリップが付いています。自分が旅行に持って行くために使い勝手を考えて作ったものです。薄くてほどよい固さがあり、邪魔になりません。
これに拙作短歌集(花の歌を中心に30首)「Colorless(ムショク)」糸綴じ手製本がセットになります。


4 レターセット・イエロー(便箋3柄 と封筒3枚のセット)@300


5 レターセット・ピンク(便箋3柄 と封筒3枚のセット)@300

レターセットを購入して旅先から手紙をだされてもよいのではと、イエローのほうは大分県の県鳥メジロを使ってみました。
zine展ではテキレボとは違う作家さんの出展もたくさんありますので、ぜひウェブ情報をチェックしてみてくださいね。こちら→
https://zinebeppu.jimdo.com/

よろしくお願いします!

300字SS 『スミレの花咲くころ』お題:酒

上記のイベントに参加します。



☆--☆--☆--☆--☆


『スミレの花咲くころ』

音がしだしたの、お囃子みたいな。寿命かぁ仕方ないなって思ったのよ。そしたらこないだ楽器どころじゃなくて、歌を歌ったの!ほんとうだよ。は~るがき~た~は~るがき~た~って、延々と。うん、最初は誰かと思ったよ。でも傍で聴いてるうちに一緒に歌いたくなってさあ、チューハイ開けて座ったわ。一緒に身体揺らして歌った。わたしのせいなんだ、わたしが不味くて飲めなかったスミレのリキュールを入れたせい。部屋に干すときいい匂いがするんじゃないかって。したよ、干したら春が来たみたいだった。洗濯機が酔っぱらうのは想定外だったけどさ。誰かと一緒に歌ったの、久しぶりだったな。あんたと最後に会ってから何年経ったのかな、ねえ?


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手違いでアップしようとしたテキストを消してしまって、書き直していたので遅刻しました。すみません。

テキストレボリューションズに参加します & 代行のご案内

今月末に浅草で開かれる上記イベント、略してテキレボにサークル花うさぎ(委託21)として参加します。
ウェブカタログはこちら、ざっとした紹介ならこれで。
花うさぎ@第6回 Text-Revolutions委託-21 - Plag!


このイベントは代行と呼ばれる通販に似た制度があって、どなたでも同人誌を購入できます。
ただし手数料があったり申し込んだものが売切れてしまったりもあるので、同人誌全体に興味があってある程度の冊数をまとめて買ってみたいという方にお勧めします。特に地方の方。
(一作家さんのものなら個別に通販で買った方がいいです。ちなみにうちは通販やっていません。イベント委託のみになります、すみません)

詳細はここから→
お買い物代行サービス | Text-Revolutions


そしてもし利用されるとしたら、無料配布のものがたくさんありますので遠慮なくそれにもシルシを入れて入手してください。無料配布のなかには300字ポストカードなんかもあります。「テキレボの同人ってどんなかんじ?」が手軽にわかるし、もしかしたら好きなタイプのものを見つけられるかもしれません。
300字ポストカードラリーはテキレボの名物企画で、毎回テーマに沿って300字の短いお話を書きポストカードに仕立ててイベント会場で配布するものです。今回のテーマはお菓子。花うさぎのポスカは福井のお菓子をテーマに制作しました。またまたいつものアレなやつですw


ってか、いつも以上にアレです。グラデ便箋の文化になじみがなくてちょっとやってみたかったんですよ痛ポスカ!小豆色をうすーくしたような色のふんわりした紙に小豆で作られる福井銘菓のSSをのせてあります。枚数が少ないので会場限定です。行かれる方はぜひもらってください☆


最後にうちのおしながき画像を貼ります。3アイテムの内2つはアンソロ「べんぜんかん」。あと1つは花うさぎの「三角州」。うちは毎回全部新刊です。
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それからツイッターで詳細にそれぞれどんな本なのか情報を載せますので、よかったらこちらへ飛んでツリー下をご覧になってください。


よろしくお願いいたします!

獺祭(だっさい)――テキレボアンソロ寄稿短編 / 約1600字

 なぜかはわかっていない。獺(かわうそ)には仕留めた魚を川べりに並べる習性があり、人はそれを神への奉納になぞらえ獺祭(だっさい)と呼ぶ。

 水が怖いと思うことがなかった。海辺で育ち泳ぎは誰にも負けない。こんな浅い瀬で溺れるなどまさかと舐めたのを悔いるも遅く、少年は気を失っていた。
この行為に理由があるならせいぜい一つ年下の部員へのやっかみといったところだろう。八咫烏やたがらす)はちょうどよいネタに過ぎなかった。しかしこの森の異様な静寂が、さっきまで居た「京都」から遠く離れた異界へと攫われてしまったような不安を生んだ。「悪行を糺(ただ)すから糺(ただす)ノ森だ」という顧問の言葉にスニーカーの水が重くなり、滑稽と思われた三本足の鴉が今まさに木々の奥からこれを裁かんと見ているのではないか、そう思わせるだけの闇と霊気を森はたたえはじめていた。

 動かなくなったことに動転し取り囲んだ少年たちは慌てて獲物を引き揚げ、人が通りかかれば目に留まってくれそうな場所まで抱え運んだ。そして彼らが足早に去ってしまうと森は一瞬閑けさを取り戻したが、それを待つかのような虫の聲に取って代わった。あと十日も経てば紅葉を訪ねる人で遅くまで賑う森は、今はまだ虫の聲とかすかな水音が聴こえるばかりである。
小さな石橋のゆるい円弧に沿い、仰向けの肢体は空を見ている。そこに光が届くほど月は昇りきっていない。
カッターシャツの裾からはさっきまで「三本足の鴉」と貧弱を揶揄(からか)われていた小さな突起が覗き、他の二本とともに揃えられている。それはまさしく神への捧げもののようであった。


 京都と福井県小浜市は古来、人とモノが行き交った。二つを結ぶ道はいくつかあるが、最短の針畑越えは幅の狭い道をアップダウンする最も険しいルートである。「京は遠ても十八里」と言うが、正確には76キロ。トライアスロン競技者の12時間かかる道を、かつて行商人が同じ時間で鯖を担いで運んだという。


 鯖のようだった。濡れて青く光る肢体は動かない。しばらくして、川から這い出し近寄る影が見えた。漆黒の羽根でできた蓑をつけた齢(よわい)三十くらいの男だ。鯖を丸裸にすると顔を近づけ身体の端から端まで舐めるように、いや、実際舌を出しところどころを舐めた。そしてひととおりその儀式を終えると軽々と肩に担ぎ、神事で馬場に使われるまっすぐな参道を南へ向かった。すると背後から黒い馬が駆けて来た。男は鯖を馬に乗せ、境内を出ると己も馬に乗り賀茂川を北へ向かった。



 少年を見つけたのは遠敷(おにゅう)の縁者だった。幼いころ父と川遊びに来て見知っていた。とはいえここ数年行き来がなく、畑から昼をとりに戻って納屋で丸裸の少年を見つけたのだ。わからなくて無理はない。「勝(まさる)」と名乗られて思い当った。勝をあらためて確かめると、朽ち葉と鳥の羽にまみれた体は擦り傷だらけで小水臭と生臭いにおいがした。「可哀そうに、やられたな」と直感したが、それにしては勝の態度が腑に落ちない。

 連絡を受け夜道を飛ばして京都に駆け付けた両親は、翌朝入った知らせに安堵し腑に落ちぬ顔をしながらも「あの子はそういう子なんです。見てはいけないものを見てしまうんです」と言ってそれ以上ことを荒立てなかった。何より本人が何の訴えもせずむしろ何かを達成したように満ち足りた顔を見せるので周囲は何も言えなくなった。引率していた部活の顧問は、制服が警察に届いたことで事件性を疑いはしたもののこれもまた本人が自発的に脱いだと言い張って打つ手がなくなった。
学校側は、宿から濡れた靴の報告を受け嫌疑をかけた数名を咎めもできずにいたが、結局彼らは全員が別件により退校あるいは中退で高校を去ることとなった。


 「昇る朝日を背に、黒い蓑の男とこどもを乗せた馬が根来峠(ねごりとうげ)を越えて来るのを見た」という噂が広がったのは数年後その少年が亡くなったときのことであった。
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まあ、お尻が描きたかっただけやんね?と問われれば「うむ」と頷くしかない!w
この作品は、絵と文章を加筆の上で手製蛇腹本『三角州』に収録しました。

蛇腹の反対面は磯崎さんの「たがそでゆめむすび」。


2つのイベントに委託頒布予定。どちらにも通販的なシステムがありますので、またご案内いたしますね。

イベント参加のお知らせ(テキストレボリューションズとzine展別府)

こんにちは。タイトルの通り、2つのイベント参加が近づいてきましたのでご案内です。

一つ目はテキストレボリューションズ略してテキレボ

10月28日(土)東京浅草で開催。詳細はこちらから→
http://text-revolutions.com/event/


二つ目はzine展別府

11月3日から5日まで3日間 大分県別府市で開催。詳細はこちらから→
https://zinebeppu.jimdo.com/

イチオシのZineというページには出展者それぞれのこだわりなど自己紹介的な文言が記載されています。「卯楽々堂」は13番目ですね、ご参考にどうぞ→https://zinebeppu.jimdo.com/%E3%82%A4%E3%83%81%E3%82%AA%E3%82%B7%E3%81%AEzine-vol-1/


さて、わたしはこのところずっと二つのイベントに向けて2種類の手製本制作をしていました。

☆☆☆☆☆☆
ひとつが『べんぜんかん』というアンソロジーで、六角形をモチーフにした短編集。参加者は公募ののち抽選で、正直主宰のわたしよりうまいひとばかり集まっちゃったよw
参加者:磯崎愛、伊織、うさうらら、オカワダアキナ、凪野基、嘉村詩穂


そんな主宰の面目丸つぶれな本ですが、わたしはお絵かきもするんで絵の方を頑張ってみましたよ!みんなが自分の得意な方向に好き勝手に書いたものをうまくイラストでイメージ繋ぎ数珠繋ぎ!そして手製本ならではの自由闊達なつくりも目指しました。コラボ花うさぎの手製本へのこだわり「手触りの良さ」も。
それからこの本のオマケについてくるヘッドセット(紙製)は、参加者の磯崎愛さんが寄稿してくれたお話にインスピレーションをもらったものです。(磯崎さんのSF的な話が面白かったので、わたしもその話にイメージをもらって書いています) なんのことやら、ですが読めばわかるので読んでください!

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アンソロ『べんぜんかん』 布張りバージョン

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あ、そしてこの本はアンソロということでなるべく多くの人に渡るよう廉価版も制作しました。こちらはテキレボのみの頒布となります。(安い分いろいろ仕様が違いますのでウェブカタログ確認してね!ウェブカタログが公開されたらまたご案内します)

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もうひとつが『三角州』という蛇腹形式の手製本です。花うさぎの二人で蛇腹の両面にそれぞれ作品を寄せております。

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一応メインが磯崎さんの「たがそでゆめむすび」という恋愛小説? 大人の人情噺ですね。いつものやつです^^ 夢使いの大桑さんが登場、着物ネタ開陳しつつの大人の会話。ゆっくりとした落ち着いた読書時間を楽しんでいただける作品。これは大人三人の恋愛(友愛?)模様を書くと磯崎さんが言うのでタイトルを『三角州』で装丁はこうしますのでってお願いして出来上がった作品です。文字だけ10000字。
試し読みがあります↓
www.pixiv.net


一方その裏側は絵がメインのわたしの作品『獺祭』。京都・下賀茂神社と福井の小浜を結ぶやや耽美な話。これはテキレボのアンソロ(テキレボ恒例のサークル紹介的なウェブイベントです)参加作品です。画像3枚、文字は1600字のショートストーリー。この投稿の次のページに続けて掲載しておきますのでよければどうぞ。
テキレボアンソロって小説は4000字上限なんですが、わたしは画像3枚の投稿方式を選んだのでイラストとあわせてこの文字数に。そして『三角州』のほうにはここからさらに関連の伝説や土地の歴史など盛り込んで和本のムードを楽しんでもらえる作品にして収録しました。

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今回のイベント出展作品では「絹紬を表紙に貼った手製本を作ってみたいな」というチャレンジをしました。アンティークの着物を解体して洗って裏張りをして。手間がかかりますが、ふわっとやわらかく上品な絹織物は触れるたびに愛着を感じていいものです。どちらも500円です。テキレボもzine展も通販的なシステムがありますので、よかったらお手元に☆


通販のご案内は後日あらためてさせていただきます、よろしくお願いいたします。

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テキストレボリューションズの開催地、神奈川県と書きましたが東京浅草の間違いです。お詫びと訂正させていただきます。  (9月24日 19:50)

300字SS 『フライト』お題:雲

上記のイベントに参加します。



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『フライト』


誰?ここで何してるの?

手を貸しに来たわ

僕、呼んでないよ。ぼんやり考え事してただけだ

うん、でもその底にはっきりがあったのね。ちゃんと聞こえたわ


彼女は、目の前を塞ぐ木の板に雲を描き始めた。


これまでいろんな雲を手伝ってきたわ。洞窟や大きな教会のフレスコ画や立派な肖像画のうしろ。こういう場所もよくあるのよ


狭い木箱の中で雲描き職人はあっという間にイメージ通りの雲を描き、僕に胸を張った。飛行機やミサイルならそこそこ描けるのに、毎日見ていた雲が描けなかった僕は心からお礼を言った。「らしく」なったよ、ありがとうって。


そうして僕は雲と一緒に高く高くのぼってほんとうの雲になった。