長屋アンソロジー『ひとのうわさ』をつくります!


先日お話ししたアンソロの参加者が決まりました! このメンバーで貧乏長屋でのくっだらないバカ話、ホラ話を展開する予定。

雨 @ganymede102
雨伽詩音 @poesy_rain
磯崎愛 @isozakiai
うさうらら @usaurara
たこやきいちご @takoyakiitigo
庭鳥 @niwatoring
端島スウ @soo_840
桜鬼 @HanaOniTiriyuku

頒布予定の京都文フリウェブカタログはこちら
c.bunfree.net
モーメントもあります。
twitter.com


参加者の桜鬼さん曰く、長屋はロマン! 貧乏裏長屋の噂話にどんな花が咲くのか、ロマンのかけらくらいはあるのか? とりあえず京都での頒布をめざして走り出しましたので皆さまご期待ください。現在わたしはお話の構想のカケラもない状態ですが、製本作業では表紙加工の途中です。今回はかなり和風の渋い装丁、函には柿渋を刷毛で塗ってクラフト感マシマシにしていますよ。和風がお好きな方、ぜひ手に取ってくださいね。

表紙の布は着物地。縮みのかかった絹、染で絵と文字が入っています。洗ってよく伸ばして裏に芯貼りして使います。

下の写真は函の紙を加工しているところ。タチアナっていうセールで安く買った紙だけど上等すぎてうちの本に合わなかったんです。で、裏を使って柿渋で汚しました。

全体の仕上がりのイメージはこんなかんじ。


アンソロは自分自身がなるべく普段と違う方向へチャレンジできるようにと考えているのですが、正直今回チャレンジしすぎでは~の感もありますw そしていつも思うけど挙手する方々みなツワモノで桃太郎が一番弱いっていう、、、ううう。それもこれも全部「たかが趣味なんだからいいじゃん」で済ませるわけですけどね、ええ。どうなることやら。応援いただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。

近況報告とお知らせ その2

こんばんは。今日はお知らせを4件です。 
・文フリ東京  11月24日
・短歌ハッシュ 今月号(配信中)
・ペーパーウェル 11月30日~
・文フリ京都  来年1月19日


☆文フリ東京 11月24日 
コラボ花うさぎの相方、磯崎愛(@isozakiai) がサークル 唐草銀河 ケ51 で出展します。
間に合うようにと、往復書簡カルトンの最新号を配信しました。これは花を題材として二人で送り合う書簡形式のエッセイです。


文フリ当日はこれまでのものと併せて6回分をブースで閲覧いただける予定です。
相方の磯崎愛は久々の文フリ出展になります。今回は再録ではありますが新刊を用意しているとのことです。こちらも花を配した美しい表紙なので花好きな方はぜひお立ち寄りくださいね。


また、台風で中止になったテキレボでの新刊だった『W』を、サークル バイロン本社 ケ-44 での【テキレボ9新刊あります!】企画で頒布します。
台風で行き場を失くしてしまった新刊たちを個人委託してくださいます。宮田さん、ありがとうございます。今企画で色々な本が揃うようですし、バイロン本社さんはもともと品ぞろえ豊富なんですよ。ぜひ見てってください^^ 『w』のウェブカタログを貼っときます。
c.bunfree.net

☆短歌ハッシュ 今月号(配信中)
今月はカワイイ路線です! いま野茨を買って部屋でドライにして飾っているんですよ。それでこうなりました。万葉集からもひとつお借りしています。

道の辺の 茨の末に 這ほ豆の 絡まる君を 別かれか行かむ
(みちのべの うまらのうれに はほまめの からまるきみを はかれかいかむ) 
丈部鳥(はせつかべのとり)

「絡まるイメージで」とお願いしたらいろんな絡まるものが集まってくれました。ぜひお読みいただき、併せて秋の茨の風情をブックカバーで楽しんでいただきたいです。セブンイレブン 10575907  60円 18日まで。
参加者リスト
望月万里葉 @perhonaribon
草薙 @naaaaagi_31
蝶のあしあと @chounoashiato31
笹波ことみ @kxtxmi
諏訪灯 @_skydew
海月ただよう @tadayou_k
桜望子 @Ma2raMen
うさうらら @usaurara 以上8名

☆ネプリ企画 ペーパーウェル
台風の影響を考慮して月末に開催延期となったネプリ同時配信企画ペーパーウェル、もうすぐですね。企画の詳細はこちらでどうぞ

わたしは短歌ハッシュと往復書簡カルトンの2種類を再配信します。翼のあるいきものというテーマになったのでコウモリラン(ビカクシダ)の10月号を用意しています。気になっていて出しそびれたー! という方もどうぞ。30日からの配信予定ですのでツイッターチェックくださいませ^^
参加者リスト
西藤智 @hitonosulab
草薙 @naaaaagi_31
諏訪灯 @_skydew
山上秋恵 @akiemuroran
庭鳥 @niwatoring
沼谷香澄 @kjomikatano
絹更ミハル @to_yo_yo_n
うさうらら @usaurara  以上8名


往復書簡カルトン 第五回 うさうらら→磯崎愛 コウモリラン


☆京都文フリ  来年 1月19日
個人サークル 卯楽々堂 で直参します。基本、在庫を持たないサークルですが今回は台風でイベントが中止になったため『W』が少しあります。あとは間に合えば昨日お話した『ひとのうわさ』アンソロも出したいなあ。

カタログ公開されたらあらためてご案内しますが、詩歌ジャンル登録の卯楽々堂はオカワダアキナさんと合同配置になるので小説のところに配置予定です。ご参加の方、ご近所になったらよろしくお願いします! 

というわけでおかさんと「なにかしらペーパー的な即興的なオアソビ的なもんをやりたいねえ!!」 と言っております。二人に余力があるのかどうか乞うご期待。

以上、お知らせ=宣伝でした。最後までお読みいただきありがとうございます。
急に空気が冷たくなって風邪をひく人が多いようです。どうぞみなさんお気をつけてお過ごしくださいませ^^

近況とかお知らせとか その1


こんばんは。
1があるので2もあります。今日のその1は近況の報告、あとひとつお知らせ。

半年ほど家のリフォームでバタバタしていました。やっとこの数日荷物が片付いてパソコンが繋がり一段落です。
そんなわけで先日のテキレボには新刊を10冊納品がやっとでした。テキレボは3年ずっと参加を続けたので出展はしたかったんです。結局イベントは台風で開催できなかったけれど^^

それで手元に新刊が残ったままになっております。ごく少量の手製本をなるべくイベントで売っていきたいので、通販はしない方針です。ごめんなさい。で、これは3冊を東京文フリに個人委託、残りを京都文フリの直参で頒布します。買っていただかなくても手製本の見本を手に取ってみていただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。

あと、お知らせです。

制作予定って言っていた『ひとのうわさ』アンソロの参加募集を16日の夜にします。告知ツイートへリプで先着順で受付します。申し込みは相互フォローの方でお願いします。

おおまかな要項

・原稿締め切り 12月16日 厳守
・字数1000程度まで
・時代は江戸(中~後期かと思わせて明確な特定はしない)
・場所は江戸の下町の長屋
・「誰かが長屋の住人の噂をする」シーンが含まれる。噂の対象は大家さん以外で 
・ジャンル不問、シリアスではないもの。ホラ話バカ話歓迎
・稿料なし、一冊献本あり

以上です。詳細は参加者決定後にまた詰めようと思います。ご質問があればツイッターのDMでお尋ねくださいね。ではよろしくお願いいたします!

静岡文学マルシェに参加します(委託ー22)

ちょっとおしゃれで美味しい即売会という認識が周囲で定着してる通称「静マル」。今週末に開催です。

shizumaru.info

卯楽々堂はずっと委託参加をしてて、今回も2アイテム委託予定です。まずは短歌アンソロ『ぽたん』。

1 短歌アンソロ『ぽたん』 500円 

・表紙は絹紬の着物地張り
・1ページに3首ずつ短歌 × 21人分
・2色刷りふう、カラーイラストが各見開きごとに
・短歌の共通イメージは「わっか」、雨音が聴こえてきそうな一冊

参加者(掲載順)
諏訪灯 
望月万里葉 
和田晴美 
なな 
hs 
泉由良 
エノモトユミ  
幸香 
近藤竹 
稲泉真紀 
西藤智
愁愁
嘉村詩穂
庭鳥 
芍薬 
山上秋恵
夜凪柊
うさうらら 
染よだか 
はね  
海月ただよう 
以上21名の合計63首掲載です

ウェブカタログはこちら ↓
plag.me


さて、「とりあえず2アイテム!」 と申し込んであったものの忙しくて実は数日前まで2つ目には手付かずでした>< 試案の末「おしゃれで美味しい新刊をちょっとだけ破格値で提供」することに。いつもは試作に改善をして最終形に持って行くんですが今回は試作のまま。納得いかない部分があるけど破格値にしますので勘弁してくださいね。あと、2冊しか納品できなかったのです、すみません。

2 『絵本』 (副題 カルトン ~神戸岡本) 200円

・麻100パ―セントの水玉生地で表紙貼りした函入り
・地元である神戸岡本の美味しいものを絵で紹介する内容
・切り抜きイラストをカードにあてはめる型はめ遊び要素
ウェブカタログはこちら ↓
plag.me

カルトン仕様、ボタンと紐、カードセット等やってみたかったことをやれて楽しかったです。
昨日見本と一緒に発送しましたので、現地に行かれる方はぜひ見本置き場で手で触れる楽しさを味わってみてください。



あと、静マルには桜鬼さんのサークル 波の寄る辺 が参加されます。表紙のイラストを担当しました『天使の番』も頒布がありますのでこちらもぜひ! 派手さは全くなく抑えに抑えた淡々とした語りなのですが、そのなかに詩情や余韻がたっぷりとある本です。表紙を担当させていただけて光栄です。

以上、静マルのお話でした。さて、この夏はプライベートで忙しそうなんでこれからしばらく創作はゆっくりペースになります。次のイベントは秋のテキレボ委託ですがそれも形ばかりの参加になりそう。並行して短歌ハッシュや花うさぎのネプリ『カルトン』を発行しながら来年の本の準備をしていきます。そんななのでしばらくはツイッターでいつも以上に美味しい美味しいばっかり言っていると思いますが、今後ともよろしくお願いいたします。

『MARGE(まるげ)』がコミティア【D02 灰青】にいきます! (冒頭試し読みあり)

文フリとテキレボでは持ち込み分完売したアンソロジー『MARGE(まるげ)』、最後の在庫数冊をコミティアで委託頒布します。

5月26日(日)
関西コミティア 於:インテックス大阪 
ブース 凪野基様 【D02 灰青】

預かっていただく凪野さん、このアンソロでもそうですが密度の高い文章できっちりエンタメする書き手です。幅広く色々書かれますので個人誌のほうもぜひ手に取ってみてくださいね。


コミティアって楽しそうで一度覗きに行ってみたいな、どうせなら委託してみたいな! と、企画の当初から凪野さんに委託をお願いしていたのです。そんなわけで日曜日はわたしもこっそり遊びに行く予定^^ 
さて、あらためてこの『まるげ』を紹介するとですね。「ピンクのまるげとは何か」を合言葉に12人が掌編を書いて手製本にまとめたものです。まるげとは「何かが丸まった様子」を指す古い言葉。手製本の表紙に使われた絹布の模様と、不思議可愛いことば「まるげ」からさまざまな空想がひろがりました。ぜひ手に取ってピンクのまるげを目撃してください!

では冒頭部分の紹介です。(掲載順)


1.海ほどく   塒之

 おいしそうなものの包み紙を外したら、おいしそうなものが入っているのだけれど、調理してお召し上がりくださいって。えっこんなキラキラした包み紙、ピンクに光ってお菓子みたいなのに、ちょうりして? しないとめしあがれないと? とじっくり見れば見るほど包み紙と同じピンクが黒い暗い海の中でざんぶと波打っており、ああ、こんな丸くて暗くて掌に乗る海があったのねえ、と感心するけれども、海。海の幸じゃなくて海。こんな甘い香りをさせておいて海!


2.ベイビー・ベイビー・ユニバース   座木春

 僕の想い人は地球の生まれで、地に足が着いた人である。彼の横顔を見ていると、僕はつくづく思うのだ。「重力って偉大だ」と。僕は土星出身で、そのためか落ち着きに欠けている。らしい。僕も自分でそう思う。だから到底叶わぬ恋でも、胸に秘めたまま楽しめるのかもしれない。
「あまり散らかすんじゃないぞ」
 僕が「マルゲ」を開けた途端、ハヤブサの声が飛んできた。途端、ミクロ・キャンディの七色の欠片が流星雨みたいに飛び出してゆく。僕は軽く片目をつぶり、大人しく「ゴメンね」と謝った。ハヤブサは眉間に皺を寄せたが、それ以上は怒らない。真面目である以上に、彼は優しい。


3.らちがい・まるじなる   磯崎愛

 かつて文字は隙間なく連なっていた。ひとびとはそれを読み上げながら書き写した。でなければ意味を追うことがむずかしかったのだ。
 そなたはきっと「書物」とやらに興味があるのだろうな。しかも余がこうして見えるとなれば、銀河の周縁に住まうものに違いない。なにしろ中央にいるものたちはせっかちなのだ。彼らは規矩にこだわり埒外のものを好まない。つまり、余のようなものどもを生かし続けるには、その言葉に耳を傾けてくれる来館者とやらが必要なのだ。いましばらく付き合ってくれ。


4.あみるすたん羊に生えるもの  ツカノアラシ

 ピンクのまるげを探しに行こう、一張羅の服を着てピンクのまるげを曲がりくねったような町へ探しに行こう。さて、ピンクのまるげとは、如何。
 その日、私は知人の手紙でピンクのまるげを探しに、曲がりくねったような町へ出かけたのだった。
 暫く前に行方不明になった知人からの封書の中には、店名と場所が印刷された名刺サイズのカードと『君が探していたピンクのまるげを見つけたので、行ってみるといい』と書かれた便箋が入っていて。
 さて、ピンクのまるげとは、如何。


5.追想  凪野基

 解析依頼が来た。ずいぶん古い型の宇宙船のメインシステムで、適合するケーブルを探すだけでひと仕事だった。
 データを変換している間に、添付のメモに目を通す。「軌道を外れて漂流していたため通信を試みるも返答はなく、当局にて拿捕。外装大破、乗員は全員死亡」目新しいものではなかった。
 サルベージしたデータから、このシステムがおよそ一七〇年前のものであることを知る。船籍ははるか遠くの星系を示していた。


6.謎の宅配便  きよにゃ

「山野さん、お届け物です」
「ふぁい……」
 宅配便のチャイムで、昼寝を起こされた。寝床からのそのそと這い上がり、やけに軽い段ボールを受け取って欠伸を噛み殺す。ここ数か月残業続きで、休みの初日は丸一日眠らないと体が持たないのだ。
(なんか通販、頼んでたっけ……)


7.北辺の習俗と神の去譚   宮田秩早

 北辺に独(ひと)り神ありと云(い)う。
 神名(な)、人代にくだりてのちは詳(つまび)らかならず。
 その地、三方を海とし、森多けれど実り薄く、夏、短く、冬、海は氷に、森は雪にて閉ざされり。
 人、覡(みこ)*1をして神と交わり、神、夏(か)を与(あた)う。
 夏とは獣なり。*2
 その血肉は滋養となり、毛皮は寒さを退(しりぞ)け、骨は海と森の生き物を呼び、人を養う。


8.ぴさんり  うさうらら

 女は天井の一角をちらと見やって壁際の梯子を取り、その先をひっかけて足場を確認した。着物をからげ上がってゆく女の腿が、少女の顔の間近で擦れうごく。屋根裏は暗くて見えないが二方の小窓の位置からみてそれなりに広いようだ。積まれた木箱から目当ての箱を探す女に「勝手にいいのですか」と少女が云うと、箱を開けようとした女の手が止まる。


9.患者番号08396   嘉村詩穂

 十九歳の彼の名をもう誰も覚えていない。カルテに記された患者番号の他に彼を呼ぶ名はなく、08396と声をかければ、弱々しい声で「はい」と返すのだった。
 原因不明の病に徐々に冒されて、十余年にわたる入院生活と多量の投薬によって足は萎え、もはや満足に歩くこともままならない。豪商の家に生まれたとあって、はじめこそ着飾った親族たちが仰々しい手土産とともに彼を見舞ったものだが、その足も絶えて久しい。
 外聞をはばかり、座敷牢の代わりにと、この白亜の病院に彼を押しこめたのだろうとおのずと知れた。
 花を手に友が見舞いに来る様子もなく、隣の病床に眠る顔ぶれが入れ替わっても、彼はひとり同じ寝台に横たわたっている。


10.メディナ・ノート  雲形ひじき

 某日、アサギマルゲが売り切れだった。いつでも買えると思っていたからストックは0だ。入荷までのしのぎ方を思案していると「正規の物じゃないが、ピンクならあるゲ」左目の大きな店主がから出してきたのはピンクのまるげだった。
 ピンクに切り替えてもリタの食欲に変化はない。三日に一度、十匹を丸飲み。
 某日、熊本氏と帰る。読んでいる本のことで意見を交わした。概ね同意で愉快。駅で別れてから、よりうまい返しを思いついて反省。氏が飼っている猫はまるまるとした長毛で、腹を撫でろと自ら要求するらしい。リタは鱗の変温動物であり、互いの存在に慣れはするが懐くわけじゃない。朝夕霧吹きをしながら話しかけていると、仏壇の前に座っている心もちになる。


11.読み捨て   オカワダアキナ

 表向きは船宿だ。ぼろい相部屋だが似たような客同士で気兼ねない。シーツは古本屋のにおいがした。あんたの部屋といっしょだ。
「まるげをやりにきたんだろ」
 年かさの男がおれに笑いかけた。満月の晩、ロッカーの鍵を足首に巻くのはまるげ狙いのしるしだ。
「あれはたまらないよな……」
 おれは仕事の前は二回シコるが、まるげだから三発だ。同室の男どもとやさしく抜きあった。軒先の文庫は一冊五十円、あんたを忘れる旅に出た。


12.Mの孵化   かくらこう

 部屋は桃色の粘液菌糸で覆われている。元はベッドだった長方形の苗床にMは脚を抱え横たわっている。その格好は胎児に、蛹に、そして卵に似ている。Mの目蓋も口も鼻も体躯も粘液に包まれ、一見なめらかな石膏だ。頚椎から尾骨にかけて鬣が生え、それは水生植物のようにゆらめく。淡い光が鬣の根元から生じ、先端へ向けて移動し、宙へ逃げる。壁や天井は光を捕らえ、それを吸収して粘液菌糸の層を肥厚させる。壁の表層では処々泡がはじけ、甘い臭いが漏れ出る。腐りゆく果実の内に閉じこめられたような部屋だ。酔いを覚え、僕は跪き、苗床にもたれる。Mがコポリと息を吐く。もうお喋りしてはくれないのだ、この口は。 


☆☆☆
絹の着物地張り表紙の手製本に楽しい嘘が12作品詰まっています。ぜひ D02 灰青 凪野さんのブースにお立ち寄りください。

文フリ金沢遠征記その2

前回に続き金沢遠征について、今回は美味しかったものの話(ばかり)です。あんしんあんぜん! お付き合いください^^

1日め

気温に悩む時期でした。雨の心配はなさそうで「着物で手搬入遠征」を決行。単衣の絹ポリ混紡着物↓に日除けの長手袋(防寒)とストールを一枚。念のため鞄に薄手の綿タートルを入れ、足元はショートブーツ、帯は薄い半幅を前板なしで男結び。下着以外は3日間着たきり雀。結果、日中は着物一枚でちょうどよくイベント会場では少し汗ばむくらい。夕方からは手袋とストール必須、さすが北陸の夜は寒かった。宿で毛布くださいって言ったくらい。

この着物はネットで2000円程度で買った中古品だけど雛罌粟の図案が美しくてお気に入り。着付けは靴でがしがし歩きたいからかなり短かくします。

さて、いざ出発 ―――― したら最寄り駅で化粧品をまるごと忘れたのに気づく。テキレボでファンデ忘れてセブンに駆け込んだのがひと月前なのに、まったく学習しませんね! そんなわけでゆっくり出直し、サンダーバード車中でお昼。トンネルが多いんですがときどき見える琵琶湖畔を眺めながらサンドウィッチをいただきました。にしてもサンダーバードってよく揺れる><

金沢駅到着後はまずタクシーで鏡花記念館へ急ぎ、見学後は尾張町の宿まですぐなのでぶらっと歩きました。タクシーから見えたレトロビル、なんの店だろうと思ってましたが近寄ると骨董屋さんのよう。宿はこの角を中へ入ったところなので明日覗いてみようと写真を。


なかなか凝ったビルです。この店の前を通るのが百万石通り、界隈で一番賑やかだったらしいです。通りはすぐ向こうでゆるいカーブになって左へ行くと浅野川東茶屋街に渡る橋が架かっている。



着いた宿はエレベーターもない、荷物も運んでくれないのだった。二階の部屋で一休みして東茶屋街方面に出かけ、浅野川べりで日没を見た。


東茶屋街は団体観光客目当ての飲食や土産物店ばかりみたいで、行くともう閑散としていた。それはそれでオツだったんでぐるっとひとあるきし、浅野川べりに並ぶ料理屋のなかから晩御飯の店を品定め。空海という、お茶屋の建物を改装した居酒屋さんに ↓

満席近かったみたいだったけどカウンターに席を作ってくれ、年配のすてきな方が仕事をさばく所作を眺めつつお刺身とほたるいかのご飯をいただいた。ほたるいかが新鮮なのでやわらかくワタが美味しい。ここはメニューが豊富で料理法も和洋中こだわらず。飽きずに通えるお店かもしれない。



泊まった宿は普請がちょっとアレでいまいちだったが安いからしゃあない、でも尾張町界隈は城下町の雰囲気が残り静かでよかった。水引き、紙、筆といったものを専門に商う古い店がぽつぽつあり、昔の賑やかさを想像させた。そういう店は土日休みだったので平日に再訪したいな。
水引の店のウィンドウ ↓


2日め
朝、旅館で和定食を。いまいちだったけどぬか漬けの銀鮭だけは美味だった。その後、ななさんと待ち合わせたミスドまで歩いて珈琲。ななさんがやってきた^^ はじめましての挨拶、早速近辺ぶらぶらです。まずミスド隣の文具屋へ。紙が充実していた! ちょっと珍しい紙を買いました。近江市場も冷やかして、早めのお昼をと金沢おでんの立ち食い。いいお値段やんけーと思いながら食べる。ふかし、車麩、バイ貝。


(イベントのことは前回記事参照)

イベントアフターは昨日のレトロビルの一角のよさそうな喫茶店に滑り込み、ケーキセットをいただきました。そして晩御飯も宿近くのここ↓

居酒屋武蔵。またも満席に近かったけどカウンターに席を作ってくれた。そしてお隣の方が「おまかせ」と言ったのに便乗させてもらっていろいろと美味しいものをいただき満足。 バイ貝煮つけ、山菜天ぷら、フグの唐揚げなど美味!


3日め
朝は食べずに宿を出て、橋のたもとのカフェで珈琲とケーキ。(週末は早朝に営業の喫茶店が少ない) それから東茶屋街をゆっくりと見て歩き。雑なものも多いけど、綺麗なものもあります。ここで入った骨董屋さんで長居をして塗り碗をひとつ購入。それから町屋改装のカフェバーで早めランチ。カレーでお腹がいっぱいになってしまい、その後スイーツが入らず悔しがることに。ここの苺パフェが美味しそうだったんだけどな~!
kanazawa.makinooto.co.jp
お昼には団体の観光客が多くなってきたので尾張町へ戻り、レトロビルの骨董屋を訪ねてみました。入りづらいかもというのは杞憂で、とても開放的な店だった。買いやすい小物もたくさんあるからお好きな方はぜひ。中はこんなふうです。 ↓


それからさらに南の角にあったレトロビルへ。これも昨日から気になっていたのだった。一階はインテリアショップです。たぶん同じ時期に建ったのだと思います。ものすごく重厚な材料とデザインで良かった。ショップもそれをうまくいかしていて古いものと新しいものミックスで楽しい。








金沢遠征での骨董戦利品。旅では必ずこんなものを持ち帰ってガラクタが増えていきますw(もちろん私的には宝物)


さて、長くなったので最後は端折る! 日曜の観光地はどこも混むので人気のないところへ。県立歴史博物館です。ここはかつて兵器庫だった建物を使っています。以前来たときはなかったガラス張りの建物は解放されていてソファでゆっくり過ごしました。花曇りの下、咲き誇る枝垂れが、煉瓦の色とよく合って忘れがたい印象で旅を締めくくってくれました。


あとですね、帰りのサンダーバード鱒の寿司を食べるねん!とななさんに言ったくらい楽しみにしていたお弁当が入手できず「輪島の朝市弁当」になってしまったのは心残りです。リベンジするねん。また行くぞ、金沢!

ほんとうに食べ物のはなしばかりで中身が無くてすみませんw お読みくださりありがとうございました^^

文学フリマ 東京のお礼と金沢のなんやかんやメモ

1 文フリ東京
まずは一昨日の文フリ東京から。桜鬼様のサークル 【波の寄る辺 】に委託させていただいた『斑』は追加制作の時間が少なく少部数だったせいもあり早くに完売しました。ありがとうございました!

完売後も問い合わせがちらほらあったとのことで、ご希望に添えずすみません。お買い求めいただけなかった方がた含めて、興味を持ってくださった皆様に御礼申し上げます。
この蛇腹スタイルの本は、磯崎とコラボで『海柘榴』シリーズとして取り組んでいるものです。このシリーズのほか過去作には同じ世界観(「夢使い」が存在する世界)で書かれた長編『夢のように、おりてくるもの』もあります。こちらはウェブ上で読めますのでよかったらどうぞ。ちょうどいま磯崎がTwitterで第一回から紹介しています。

ちなみに、今日は磯崎の誕生日です。愛さん、おめでとうございます。そして皆さんに磯崎のウェブ小説掲載のお知らせです。


バースデーに発表予定だそうなので今夜に掲載が告知されると思います。ぜひ読んでみてください。現代ものの一次創作をウェブで発表は久しぶりですのでわたしも楽しみ^^


2 文フリ金沢
サークル卯楽々堂として4月20日に直参した文フリ金沢について箇条書き。

(はじめましての方のためわたしのこれまでの活動状況をどうぞ↓
この3年ほど手製本の委託だけでイベントに参加してきました。直参は先日のテキレボについで二度目、文フリ直参は初めてです。でも、第一回の大阪文フリに一般客として行って以来長く創作文芸界隈を見ていますし、この3年委託専門サークルとして活動していますのでベースはわりと出来がった状態での直接参加でした)

☆当日について☆

・おしながき
今回は直参なのでアイテム多め。目玉は初頒布の短歌アンソロ『ぽたん』。

・設営  
 45×75と机が狭くて凝れなかったし、一度練習したので当日はスムーズに。

 黄色枠がうちのスペース、ピンクはななさん、反対側のブルーは欠席でした。敷布は朱子織帯地を縫い合わせたもの。備品はお菓子箱利用の壇をひとつ、その上に100均の発砲スチロール利用の大型ポップ立て。お金を使わずシンプルに。A1ポスターも自宅印刷の貼り合わせです。
 左上から 
 1 花うさぎの作品を初めて本にした過去作『夢のように、おりてくるもの』、磯崎のサークル唐草銀河から委託
 2と3 蛇腹本『斑』と、桜鬼さんからの委託『天使の番』を隣り合わせて配置
 4 短歌ハッシュ 4月号を和紙刷り、文庫カバーにして無配
 5 手製本の過去作品をいろいろ置いたコーナー
 6 凪野基さんとのコラボ絵本『艮』
 7と8 短歌アンソロ『ぽたん』は今回初頒布だったので前に2列積み、A1ポスターも提げて

・目玉の新刊 ぽたん について 
 短歌のアンソロを手製本でやってみたかったので突発的に作りました。輪っかをテーマにして一人3首ずつ21人参加しています。各ページイラストつき、表紙の布の爽やかなイメージに合った現代的な短歌の本になったと思います^^


こちらは残部を静岡文学マルシェに委託予定です。お近くの方はぜひ。

・初めて手搬入遠征
今回は宅配を利用せず「手搬入遠征」に挑戦しました!以下の装備プラス無印のリュック。年寄りにはこれ、限界です!! イベントはいいとしてその翌日動くのがしんどかった。

・タイムキープ、多少はかんがえたほうがいいなと反省
 小規模イベントならゆったりできるだろうと全然何も考えずに臨んでしまったし、腕時計を忘れたし! 次回はもう少し計画的に行動しよう。

・テキレボで直参したおかげで知り合いがうんと増えて、楽しかったです。また、長年ウェブ上のお付き合いだけだったあのひとこのひとと対面できて嬉しかったですね。お相手くださったみなさんありがとうございました^^

・最後になりましたが何から何まで隣接配置のななさんにはお世話になって、ありがとうございました! うささんのお世話をするために隣接したような??? と思っていらっしゃるのではないかと思いますw すみません、また何かどこかで恩返しします~~!


☆金沢文フリ(あるいは文フリ全体)についてメモ☆

・前述のとおり机が狭~い。モノは縮小展示対応できても人間の大きさは変えられないので横幅75で準備や片付けといった動作はきついなと。
・文フリ全てなのかどうか不明だが全体準備とか片付けとかがあまりない印象で、気楽だなーと。ほとんど自分のことさえやればいいかんじだった。
・一般客入場がほぼない。大阪や京都以外だとこういうものかな?(不明)
・開催時間が1時~6時という変わった設定については、終了は5時でいいのではと感じた。逆に開始は午前中別のことをする時間が取れてよかった。(遠方の同人仲間と初顔合わせ、市場を散歩してお昼を食べた) 小規模なイベントならではだと思うけど午後だけというのは個人的に好感
・規模が小さいから見本も少なくしっかり見てくださるようで「見本がよかったから」と数名のお買い上げがあった。見本をつくるの、うちの本はめんどくさいのだけど出してよかった。(うちは手製本という特殊さで目立つから数があっても埋もれにくいけど普通の印刷本は大規模な見本棚に出す意味って薄いかもなあとも感じた)


・売れ行きとか
『ぽたん』は、幅広い客層に買っていただけた。今回の金沢は全体的にやや客数・売り上げが低めだった様子で、そんななかで健闘。
次いで推しであった『斑』もよく出た。花うさぎ蛇腹本は手間がかかるので生産が少な目でイベントに出すと早い時間に完売となることが多いです。「手間暇かけられた作品を手元に迎えて愛でたい」という人が増えているのかなと嬉しく思っている今日この頃。凪野さんとのコラボ本『艮』も完売しましたし、手製本サークルとしてアピールしているのでその効果かなと思います。どんどん手製本の仲間を増やしていこー。


さて、ついでにここでお知らせです。わたしの個人的な理由でこれから半年ほど創作活動に「一回休み」をいただきます。蛇腹本も含めうちの手製本を楽しみにしてくださる方がいらっしゃったらちょっとばかりお待ちいただけると嬉しいです!

・ネプリ企画 ペーパーウェルの第二回告知
Twitterで広報していますが6月の1~2日にネプリ同時配信企画の第二回を開催します。一次創作のオールジャンル、ゆるいキーワード縛りでネプリを出してみませんか。ハッシュタグ利用で同時配信し、ちょっとしたお祭りをやろうよという企画。詳細はこちらから↓

難しく考えずにご参加くださいね。沢山の方の参加、お待ちしています!

さて、長くなったのでイベント以外のこと(宿や周囲の雰囲気、観光、お土産などについて)は次回にします。ここまでお読みいただきありがとうございました! では、また^^