『恋歌』 お題:試す

上記ツイッター創作小説企画に参加します。

『恋歌』

ウィンドウに硝子壜がつんと立っている。ちいさな櫻貝が描かれたラベルから微かに歌声がきこえた。横に「未知の世界へあなたを誘います。お試し可」とある。

「いいですか?」

少女は店員に促されるまま奥の椅子に座った。女が蓋をひねると、きつい臭いが鼻を突く。それは爪が桜色にかわるたび濃度を増し、ついには少女の最奥まで侵入した。ゆだねる、うばわれる、、、波のように反復する。
「これは櫻貝から作られているんです。二枚貝は、、、」


波音を聴きたい。ピンクの爪がそんな気にさせたのだろうか。入水の目撃談はどれも奇しい。何者かに両手を引っ張られているように見えたという。


二枚貝はいつも片割れと引き合っているのです」


☆☆☆

昨日だったか、インドの病院で酸素ボンベかなんかを運んでいたひとがMRIの電磁に引き寄せられて、酸素がどうにかして爆発したあおりで死んだというのを読んだ。人間どんなことで死ぬかわからんと思った。
それにくらべりゃずいぶんこれはロマンチックです。思春期特有のなにかがそうさせた、ということも考えられますしね。

ところで、爪を塗ってもらうというのはとてもとても性的な行為だとわたしはずっと思っていたので、それがこのように世の中であたりまえの商売と化してしまってちょっと驚いていたりします。どうでもいいことはどんどん進むよねまったく!
ではまた(投げやりなオチですみません)次回お会いしましょう☆