300字SS 『魚を飼う』 お題:散る


上記のイベントに参加します。

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魚を飼う


「歩女(ぽにょ)ってんだと」
「鱗だらけの女抱くのも一興かもしれないねえ」

着物を剥ぎながら女の首筋を頬で摺ると、ほつれ毛の音がさりさりとする。

「そうさな。おまえとおんなじようにここがこうなってりゃ俺は文句ねえよ」

言いながら指を沈めると女の体は逃げるように浮いた。
肩をしっかり掴み馬乗りになろうと女の背を押し伏せて、男はぎょっと退いた。
背が血に染まって見えたのだ。

(痣か。痣にしてはやけに朱い)

「なに、驚くこたない。あんたさっき言ったじゃないか」

促され、恐る恐る指で触れると塊はぱぁっと四方へ飛び散った。
それは血塊ではなく群れ、赤い魚の群れだった。



その女を抱いた男は、背に赤い痣ができるのだという。

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なんだったか忘れたけど今日ツイッターのTLで歩女(ぽにょう)を見かけていて、
以前から金魚がわぁ~~~って散る映像を文字作品で使ってみたかったのでこうなりました。

ぽにょう↓

雪女に続き「女ってこわ~~い官能シリーズ」第二弾ですねw