「短歌の目」というイベントに月々参加させていただいたおかげで放置しっぱなしだったはてなブログを再開しどうにか一年やってこれました。それをきっかけに相互閲覧の関係も少しずつ増えて、この企画の存在と主宰の卯野さんid:macchaunoの労をとてもありがたく思っています。卯野さんからいただく毎月のコメントも楽しみでした。
そんなわけで、ずっとスターつけたくてもつけられない状態だった卯野さんの短歌のなかからわたしが勝手にベスト10を選んでスターにかえさせていただきます。
・一錠
そのうちに一錠飲めるようになるきみの額がしんみり熱い
・舌
蜻蛉ゆく風を感じるためだけにひらかれている狛犬の舌
・手帳
ほぼ日の朱の手帳にきみが書くぼくとの逢瀬はただ ✔(ちょん)とだけ
・傘
朱、白、碧、あふるる傘の氾濫が 詠(うた)う「世界はこんなにも豊か」
・しそ
雨だれが土の香とつ、と叩いては裏庭の葉、しそだと伝う
・紫陽花
紫陽花が土の pH(ペーハー)映すよにきみのこころをゆつくりと知る
・うぐいす
うぐいすの粉を撒き撒き餅食みし吾子の口から緑はじまる
・粉
ミニマムでタイトなライフじゃないけれどハッピーターンの粉でトベます
・苺
のんのんと籠の苺をついばんでのんのんときみと海などながむ
・信号
明けがたの 蜷色(にないろ)に死ぬ信号機よ、讃えよこんなにも生きる我を
さらにその中から3首選ぶとするとこの3つかな。
☆舌
蜻蛉ゆく風を感じるためだけにひらかれている狛犬の舌
ひらかれている、がいいんです。
☆うぐいす
うぐいすの粉を撒き撒き餅食みし吾子の口から緑はじまる
こどもの生命力が、緑はじまるにあふれてる。
☆信号
明けがたの 蜷色(にないろ)に死ぬ信号機よ、讃えよこんなにも生きる我を
卯野さんの作品のベースにあるように思われる生と死。そんななかで特にこれ、明けがたの信号機のイメージ。
以上、ごくごく個人的な好みを述べさせていただきました。
そしてこの場を借りて、あらためて一年近く濃やかなイベント運営をしてこられた卯野さんに感謝を申し上げます。
本当にありがとうございました。そしてお疲れ様でした。
いつかの再開を心待ちにしております。