『灯』 山はひと月もすれば枯れ色になろうかという頃である。 境内から下る参道の、何もかもが闇に吸われてほとんど一つになった中に残火のようにほの赤い珠が鮮やかに浮かんでいた。 近づいて手に取ればひとつも熱くはない。むしろ少し火照った手にはにひん…
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