300字SS 『百日』 お題:訪れ

さるすべり百日紅(ひゃくにちあか)いって書くんだ

冷たくなめらかな肌は何か大きな生きものの骨のようだ。

人骨みたいだろ

触れたことがあるかの口ぶりで言う。

恋人が訪れるのを百日待った女が死んだ場所に生えたんだとか
百日って長い?
百箇日っていうしね。人が涙を涸らすだけの時間ではあるな

物知りな従兄とは2つしか違わない。

百日で死体は骨になるかな?
さあ
やってみようか

咽喉に食い込む指を狛犬が見て見ぬふりした。

ひとつの行為がその相手如何で屈辱にも愛にもなり得ると気付いたのは僕が十二のときだ。
涙を涸らすのが百日どころではすまないことを、そのときの僕はまだ知らなかった。


(了)




これは北陸アンソロ『海柘榴』からのスピンアウトです。
また、このSSは下記ツイッター企画の参加作品です。


短歌ハッシュ 9月の参加者募集します☆

今月は折本にすると渋めピンクに青紫で葡萄の表紙

文庫本カバーにした状態はこういうの

たぬきのような謎生物は栗鼠ですよw
最初は栗鼠に木の実と思ってたんですが、やってみるとかわいすぎてしっくりこなかった。
調べると栗鼠には葡萄柄が一時流行したらしく、着物の柄としても流通が多いようでこちらに変更。
市松模様を前回からの継続で取り入れてメリハリをつけました。
色は葡萄を連想する色構成ということで迷った末これに。このカラーは調整が微妙で難しかった。


どうでしょう。秋らしく渋い一枚になったかな?


さて、下記のとおり参加者を募集しております。


基本的に申し込みは上記ツイッター告知へのリプライでお願いしていますがツイッターをご利用でない方ははてなハイクでリプライくださっても結構ですよ。こちらへ↓
http://h.hatena.ne.jp/usaurara/83464910503665866


短歌、気楽に一首詠んでみませんか?


追記:あっというまに残り一席になっています、お早めにどうぞ。( 09/01 23:30現在 )
追記:全席埋まりました!ありがとうございました。( 09/02 09:00現在 )

短歌ハッシュ#2 ありがとうございました

短歌8首とイラストのネプリ「短歌ハッシュ」第二号の配信を終えました。
ご参加くださった方、出力くださった方、RT等ありがとうございました。
少しずつツイッターでRTくださるひとが増え、今回は参加者枠もわりとすぐに埋まり、この調子でぼちぼちとやっていけたらいいなと思ってます。

短歌ハッシュのデザインは「なんとなく和風」を基本方針にしています。理由は「短歌だから」って思うでしょ? 違うんです。着物を着て出かけるときにそれに似合うブックカバーが欲しかったからw 
着物に似合う、ありそうでないかんじのブックカバーを季節ごとに楽しみたい!という欲求と、以前書いたけど「うちのプリンターのインク詰まり防止」っていう必然が同時発生してこの企画が生まれています。

だからこの配信を一番楽しんでいるのは私ですね^^ 私は一応コンビニでのプリントもしますけど、それと別に和紙で自宅プリントして本に巻きます。和紙よいですよーー。


で、今回のデザインのはなしです。浮世絵っぽいですよね。市松はオリンピックがちょうど時期だなというので使いましたが浮世絵でもよくある伝統文様ですし波のかたちはまんま浮世絵ですね。
そして岩陰で跳ねている尾ひれはじつは鯨です。月・秋の星座・海というコンボを決めてあっておさまりの良い鯨座をセレクトしたので海にも鯨を描きました。この鯨は国芳のデザインをほぼコピーしています。国芳さん、ありがとうございます!


では短歌についてもざっくり振り返ります。自作は

スコープに届く変光星(ミラ)の信号はかまってちゃんなきみに似ていて

鯨座のまんなかあたりにある大き目の星はミラといって、肉眼では見えたり見えなかったりする不思議な星だそうです。ぐぐったときにその動画を見て感じたことをほぼそのまま歌にしました。
そこにあるのに見えたり見えなかったりまるでかくれんぼしてるような星の存在も不思議ですが、点滅する光ってひとのこころを惹きつけるものがあるよなあっていう不思議を。
突き詰めたらおのれの孤独感に行きつくのではないか、そんなことを考えます。



さて、次回は「実」をテーマにする予定で、今回のポップカラーとは逆のシックな配色で秋の訪れを感じていただこうかなと思っています、募集のお知らせを楽しみにお待ちください。


追記:参加いただいた方の振り返り記事を以下に追記します。よろしかったらこちらもどうぞ☆

短歌ハッシュ 月 - w a k u r a b a

コラボ花うさぎでの2016前半の活動について

今年に入ってからの半年間、私は「コラボ花うさぎ」(磯崎愛さんid:florentineと組んでの創作)を中心にやってきました。自分がかかわったものが現在で3作品、これからあと1作品テキレボで委託販売の予定です。基幹となる『海柘榴』@北陸アンソロジーの通販が開始され週末には東京コミティアでの頒布があるこのタイミングで、一度作品の流れを解説させていただこうと思います。
(『海柘榴』は元を辿れば磯崎さんの夢使いシリーズ小説になりますが、ややこしくなるので端折ります。関心を持っていただいた方は磯崎さんのサイトから作品を辿ってみてください。

florentine.hatenablog.com


1『海柘榴』(コラボ花うさぎ)

さて、『海柘榴』は福井県の小浜が舞台です。アラサーの独身男性が従兄の十三回忌で訪れた小浜で夢使いの男と同宿する数時間が描かれています。コラボとしてこの作品でやってみたかったことはわたしのコミックと磯崎さんの小説を一つの作品として構成すること。初めてやることってスリリングで楽しいですね。制作はヒヤヒヤしながらもとっても楽しみました^^

いつも通り、地味でなんだかよくわからないどこに向けて書いているんだっていう作品ですね!w こういうのが好きなんだからしょうがないのッ 北陸アンソロはこれ以外にも土地への愛が溢れた作品目白押しなので、よかったら以下の方法で入手くださいませ。

☆北陸アンソロジー  「北陸マンダラ」(「海柘榴」掲載)

ブースでの通販はこちら

library7.booth.pm
 
直近の頒布予定はこちら

・8月21日  東京 コミティア117  世津路(twitter ‏@compota_nomoo)さま ブース番号 L01b にて10部のみ
・8月28日 島根県 花鳥風月128   なな(twitter @nano1257 )さま サークル名 7's Library  委託10にて

2 『泣草図譜』(うさうらら)

そして、ここから派生したのが「喪失アンソロジー」掲載の詩画集「泣草図譜」です。内容はさっきの主人公が従兄のことを追想するもの。春~夏の草花9種類を短歌と絵で飾っています。(下のリンクから読みに行けますのでよろしければ)

「物語は須く喪失である」:泣草図譜

で、これはウェブ企画でしたが自宅で手製本として仕上げて金沢文フリで無料配布もしました。自宅プリンターを新調して「和紙で和綴じのコピー本を作ってみたい」という欲求が湧いていたので「紙を刷る、折る、綴る」を楽しみました!(楽しすぎて第二弾を制作中w)

f:id:usaurara:20160514160204j:plain


3 『GRENADE――柘榴残照』(うさうらら)

これはひとつのお話からの派生作品を集めたウェブアンソロジーに寄稿したもの。この企画では花うさぎの二人がそれぞれにコミックと小説で参加しました。どちらも『海柘榴』を元ネタとしています。


・わたしのほうは30ページのコミック『GRENADE――柘榴残照』、元作品で主人公だった徹君が同じ年の夏にであった出来事を中心に描いてあります。これを読んでもらうと『海柘榴』がより味わい深くなります。小浜のこと、従兄への思慕などあの尺で描き切れなかったことがここで補完されています。下記リンク先↓には元ネタとの簡単な関係説明を置いてあります。眼を通してもらえば元ネタを読んでいなくてもお楽しみいただけると思います。

うさうらら 福井の小浜を法事で訪ねた男が夢使いの男と過ごした一晩の物語 #WebアンソロジーIndex - tales-of-start-line ページ!


・コラボ相方、磯崎愛さんの小説『柘榴の帯~あやとりゆめむすび裂織(さきおり)~』はこちらから↓

磯崎愛 福井の小浜を法事で訪ねた男が夢使いの男と過ごした一晩の物語 #WebアンソロジーIndex - tales-of-start-line ページ!


4 『泣草図譜 やまばと編』 (うさうらら)

これは現在制作中です。とにかく手作りが好きで、作っている時間が楽しいので売れることはばっさりと切り捨てて最小限の冊数を好きなことだけ書いて作る予定。途中経過はこんなかんじです。晩夏~秋の9種類の草花の絵と短歌、それからコミック『GRENADE――柘榴残照』のキャラ祐介くんをメインキャラにしてちいさなお話も展開します。


これはテキレボ4で委託販売になります。無事に仕上がったらお知らせするのでよろしくお願いいたします☆
  

短歌ハッシュ#2 配信します

盆そわーる。ゆうべは曇りがちで流れ星があまり見えなかったみたいですが、今夜はどうでしょうか。
わたしは今夜友人と10年ぶりの再会で晩御飯に出かけるので、帰りに空を見上げようと思います。

ツイッターでは先日からプレ配信していますが、短歌ハッシュの第二号を本配信します。

セブンイレブン 配信番号 35409320 A4 カラーオンリー 60円  8月20日まで



前回同様、文庫本のブックカバーにできるデザインで上下の縁に8首の短歌が収まっています。
テーマはゆるーく「月」でお願いしました。
なんで本配信を今日まで待っていたかというと、これからの一週間が月の見頃だからなんです。
ポップな色使いの絵面なせいか、短歌も普段着のTシャツみたいな雰囲気の作品が集まってる気がする~^^
作品を寄せてくださったみなさん、ありがとうございました。

次回は「実」をテーマに募集しますので、ご覧になって「自分も」と思った方は頭の隅に置いといてくださいね!
「実」は木の実でも果実でも真実や事実といった概念でもOK、ゆるくとらえて詠んでください。経験実力傾向不問です。
募集はツイッターで月初めにやっていますので、参加くださる場合はその告知ツイートにリプライでお申し込みください。8枠しかないので早い者勝ちです☆


折本にするとこういうかんじで

文庫本に巻くとこうなります


ネットプリント、簡単なので「やったことないわー」っていうひともぜひトライしてみてくださいね。
小銭を入れてマシンからじわじわ~~~って紙が出てくるの、ちょっと楽しいですよw 

300字SS 『カプセル』 お題:声

カプセル

f:id:usaurara:20160806205151p:plain

庭を挟んだ向こう、蔵の白壁に濃い青を湛えた朝顔が空へと競うように咲いている。
真っ白な麻絣を着た従兄の傍に立つと彼は嬉しそうに朝顔の多種多様について話した。

「蔓がいいんだ、朝顔ならこの古型が。葉の形が美しいだろ」

やわらかな髪のうねりと覗き見える耳を見ながら僕はそれに同意した。

彼が空へ旅立って13年になる。今も咲かせ続けているという叔母に種を見せられ数粒を持ち帰ったのはこの春の法事のことだ。

「種ってのはカプセルだよ」

きみが古代蓮の話を聴かせなければ僕はこんな酔狂をしなかっただろう。
これが咲いたら君の笑う声をもう一度聞けそうな気がするんだ。
「とんだロマンチストだ」って。


(了)

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『北陸アンソロジー』で掲載の「海柘榴」からのスピンオフです。同じ語り手で追想をさせながら「声」をどう組み込むか、結構悩みました。(この挿画は北陸アンソロ初売り時につけた限定ポスカです)

話としてはなんてことないんですが、あの話の空気はちゃんと写し取れたかなあと思います。


拝読、ありがとうございました。

テキレボに向けて作業進捗とか

こんにちは、ついったでは毎日アイス画像あげてテロってるうさうららですすみません!w
暑いですね。痩せないね。(アイス喰うな)


さて、10月8日のテキストレボリューション(通称テキレボ)に委託参加することにしました

――ってことは前に報告しましたね。それで、せっかくだったらテキレボアンソロジーっていう参加者みんなで鈍器(本)を作るお祭りにも参加したらいいやん!と思って先日無事原稿提出しました。内容は委託用の冊子のモノクロダイジェスト的なもの3pです。


今回のテキレボ参加は

ジャンル   詩歌
サークル名  花うさぎ
執筆者・代表 うさうらら
参加形態   委託

になってます。


サークルを「花うさぎ」にしたのは今回作っている冊子がもともと「花うさぎ」でコラボした北陸アンソロの『海柘榴』から繋がる作品だから。今回の『泣草図譜』も、純粋にわたしがわたしの自己満足のために一人でしこしこ作っております。

で、なんでテキレボに出そうと思ったかっていうと、今回テキレボの大きなテーマが「和」だったんですよ。ね、これは見逃せないでしょ?ひねりもなんもなくて恐縮すぎるけど好きなんです和モチーフも和の色調も和の素材も!


ってわけで『泣草図譜』第二弾は「やまばと編」でこういう雰囲気になりますよって進捗報告。表紙とか、包装とか。外から攻めてます☆





前回同様、9種類の草花の短歌とイラストでお送りします。お話の流れとかわかんなくてもそれなりに楽しんでいただける作品にしたいと思っていますのでよろしくお願いします。(テキレボは会場に行かなくても本を買うことができるシステムがある稀有なイベントですので、この機会に同人誌を買ってみようかなって思ってくださると嬉しいな!)


そして今回は短歌を詠むにあたって2つの課題にトライしてみました。

・短歌に草花の名前9種類を詠み込み
・乱題詠のお題を詠み込み

です。乱題詠のお題はつちのこさんところのこちらからいただきました↓ (つちのこさん、ありがとうございます)

乱題詠・6月お題 - そこ、hyphen


鬼灯 × ランプ
えのころぐさ × 励
紫陽花 × 境目
秋桜 × あばれ
芒 × 従
葦 × っている
烏瓜 × 少な
葉鶏頭 × のうち
吾亦紅 × 炎

これで9首、残りの「かばん」というお題を「やまばと編」の「鳩」で詠んで一首、合計10首。これらはテキレボアンソロがウェブ公開されたらリンク貼りますのでもう少しお待ちください。